イスラエル軍、ガザ各地を攻撃、83人死亡、全面制圧へ

ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は5日午後の時点で6万1020人、負傷者は15万671人となっている。
2025年8月4日/パレスチナ自治区、ガザ地区南部の食料配給所(AP通信)

イスラエル軍が5日、パレスチナ・ガザ地区北部や中部などへの攻撃を継続し、攻撃24時間で少なくとも83人が死亡、数百人が負傷した。保健当局が明らかにした。

カタールの衛星テレビ局アルジャジーラは病院関係者の話しとして、「新たに8人が飢餓と栄養失調により死亡した」と伝えている。

アルジャジーラによると、5日に殺害された83人のうち少なくとも58人はガザ人道財団(GHF)の配給所近くでイスラエル兵に射殺されたという。

米国とイスラエルが運営するGHFは5月27日に南部の複数のエリアで配給所の運営を開始。それ以来、配給所とその周辺で殺害された市民は1600人近くに達し、今も増え続けている。

ガザ保健省は過去24時間で少なくとも8人が餓死し、うち1人は子供だったと報告している。

これにより、ガザ紛争が始まって以来、飢餓や栄養失調で死亡したパレスチナ人の総数は188人(うち94人が子供)となった。

イスラエルは4日、95台の援助トラックの入域を許可した。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は最低限のニーズを満たすためには1日600台の援助トラックが必要と訴えている。

UNRWAによると、入域を許可されたトラックの数は1日平均85台となっている。

トランプ(Donald Trump)米大統領は先月末、ガザに大飢饉が迫る中、イスラエルと連携してガザに新しい食料センターを開設すると表明。ウィトコフ(Steve Witkoff)中東担当特使は先週末のガザ視察でこの開設に向けた準備を加速させると強調した。

イスラエルとイスラム組織ハマスの停戦交渉は事実上破綻。停戦の見通しが立たない中、国際社会はイスラエルへの批判を強めている。

イスラエルのメディアによると、ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相はガザ地区全域を占領する計画を発表する構えのようだ。

首相府の報道官は5日の声明で、ネタニヤフ氏が治安当局のトップと会談したと明らかにした。

それによると、軍のザミール(Eyal Zamir)参謀総長は会談の中で、ガザでの「作戦継続の選択肢」を提示したという。

ネタニヤフ氏はガザの全面制圧を検討しているとみられ、7日午後に閣議を招集する予定だ。

ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は5日午後の時点で6万1020人、負傷者は15万671人となっている。

多くのボランティアが行方不明者を捜索している。建物の倒壊に巻き込まれるなどして行方不明になった市民は1万~1万4000人と推定されている。

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