◎イスラエルは宿敵イランと同盟関係にあった旧アサド政権の支配下に置かれている地域を数百回空爆してきたが、空爆を行ったと認めたことはほとんどない。
シリア東部、イスラエル軍の空爆(Getty Images)

イスラエル軍がシリア南部と首都ダマスカスの武器庫を空爆し、反体制派による奪取を阻止した。イスラエルメディアが8日に報じた。

地元紙ハーレツは情報筋の話しとして、「アサド政権を崩壊させた反体制派にその武器が渡ることを阻止するため、複数の保管庫を狙った」と伝えている。

地元紙タイムズ・オブ・イスラエルは専門家の話しを引用し、「イスラエルの航空部隊は潜在的な脅威を排除し、シリア領内の制空権を維持するために、アサド政権の兵器や拠点を叩いているとみられる」と報じた。

カタールの衛星テレビ局アルジャジーラによると、イスラエル軍はダマスカスの軍情報本部と税関本部を空爆したとみられる。これらの施設には燃料貯蔵所もある。

ロイター通信はダマスカス中心部の治安複合施設が空爆を受けたと報じた。死傷者の情報はない。

イスラエルは宿敵イランと同盟関係にあった旧アサド政権の支配下に置かれている地域を数百回空爆してきたが、空爆を行ったと認めたことはほとんどない。

空爆の標的は正規軍かイランの支援を受ける勢力であることが多い。イランはレバノンの過激派ヒズボに武器を送る際、シリアを中継地として利用している。

AP通信は8日、ダマスカスの南西に位置する軍用飛行場周辺で大きな爆発音が聞こえたと報じた。

同空港は以前にもイスラエル軍の空爆を受けているが、8日の爆発がイスラエルによるものかは分かっていない。

タハリール・アルシャーム機構(HTS)とその同盟組織は先月末、アサド(Bashar Assad)大統領の支配下にある北部アレッポ県に攻め込み、全土を制圧。正規軍への攻撃を本格化させた。

HTSはその後、中部の要衝ハマに侵攻。第3の都市ホムスもあっさり制圧した。

HTSは7日、首都ダマスカスを制圧し、アサド政権の終焉と「復讐のない新時代」の始まりを宣言。さらにHTS司令部は8日、アサド氏が国を去ったと発表。「独裁政権から解放された」と宣言した。

反体制派が電光石火の進撃を開始してから2週間も経たぬうちにアサド政権は崩壊した。

HTSは内戦下のシリアで活動する反政府組織のひとつ。「国際テロ組織アルカイダ」のシリア支部とみなされ、北西部イドリブ県に本部がある。

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