イスラエル軍、ヨルダン川西岸でパレスチナ人2人殺害
軍によると、17歳の少年が運転する車が兵士に向かって突っ込んできたため、発砲したという。
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イスラエル軍の兵士がヨルダン川西岸地区のチェックポイント付近で車を運転していた17歳の少年と55歳男性を射殺した。現地メディアが7日に報じた。
事件は同日、ヨルダン川西岸の都市ヘブロンに設けられていたチェックポイント付近で起きた。軍によると、17歳の少年が運転する車が兵士に向かって突っ込んできたため、発砲したという。
軍は当初、この発砲で「2人のテロリスト」が死亡したと説明したが、その後「テロリストは1人のみ」と訂正した。
ロイター通信は治安筋の話しとして、「55歳の男は武装勢力の構成員とみられる」と伝えている。しかし、パレスチナの報道機関WAFAは「市の街路清掃員が仕事中に射殺された」と報じた。
もう1人の死者は17歳の少年で、軍は車が兵士に対し脅威を与えたとして発砲したとの立場を示している。それ以上の詳細は明らかになっておらず、武装勢力が犯行を主張した形跡もない。
2023年10月にガザ紛争が始まって以来、占領下のヨルダン川西岸では軍とユダヤ人入植者によるパレスチナ人への武力行使が急増しており、今回のようなチェックポイント付近での射殺事件も頻発している。
2025年に入ってからは18歳未満のパレスチナ人少なくとも51人がイスラエル軍によって殺害されている。
今回の事件について、国際社会および人権団体からは強い懸念があがっており、「日常的な移動の場での致命的な暴力」「未成年の運転手による ‘テロ’ 扱いの是非」「民間人・市民労働者の命の軽視」といった問題が改めて問われている。
一方でイスラエル軍は、対象者が兵士に対する攻撃意図をもっていた可能性を示唆しており、安全保障上の脅威を排除する正当防衛の主張を崩していない。だが、チェックポイントでの「車による突進」をいかに判断し、発砲に至るか、その基準の透明性があらためて求められている。
