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イスラエル内閣、ヨルダン川西岸地区の土地登記を閣議決定

専門家はこの措置がイスラエル支配の法的基盤を強化し、ユダヤ人入植者による土地取得を促進すると指摘している。
2021年10月26日/パレスチナ、ヨルダン川西岸地区の住宅開発現場(Getty Images/AFP通信/EPA通信)

イスラエル政府は今週、占領下のパレスチナ・ヨルダン川西岸地区に対して、土地登記制度の開始を含む政策を閣議決定し、パレスチナ側や国際社会から「事実上の併合」とする強い批判が上がっている。専門家はこの措置がイスラエル支配の法的基盤を強化し、ユダヤ人入植者による土地取得を促進すると指摘している。

イスラエルのネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は今年後半に予定される総選挙を控え、パレスチナ国家の樹立を安全保障上の脅威とみなす立場を堅持している。連立政権にはヨルダン川西岸への入植拡大を強く支持する超国家主義者が含まれており、今回の承認はその政策方針の延長とみられる。

今回の閣議決定では西岸での土地登記手続きを1967年の占領以降初めて開始することが盛り込まれた。スモトリッチ(Bezalel Smotrich)財務相は「入植革命を継続し、我々の土地全体に対する統制を強化する」と述べ、カッツ(Israel Katz)国防相も「国家の安全を守るための重要な措置」と説明した。政府声明は、パレスチナ自治政府が推進してきた「違法な土地登記手続きへの適切な対応」として正当性を主張した。

イスラエル外務省は16日、この措置が「透明性の向上と土地紛争解決に資する」と述べ、登記制度は法的な整理を促すとした。しかし、パレスチナ側は強く反発し、声明で「これはパレスチナ領土の事実上の併合であり、違法な入植活動を通じて占領を固定化する計画の開始宣言だ」と非難した。

イスラエルの入植地監視団体「ピースナウ(Peace Now)」は、この政策が西岸の最大約半分の土地でパレスチナ人の所有権を奪う可能性があると警告している。報告によると、多くのパレスチナ人は長年の戦乱や占領下で土地の所有権の文書を失っており、厳格な登記要件を満たすことができないため、結果的に土地が国有地として登録されやすくなるとの見方が出ている。

ヨルダンやエジプト、カタールなどアラブ諸国も声明でこの決定を非難し、「国際法違反」「平和プロセスを損なう」と批判した。国際司法裁判所は2024年の助言的意見で、イスラエルの西岸占領と入植活動は違法で、直ちに終了すべきだと示したが、イスラエル政府は歴史的・宗教的権利を根拠にこの見解を否定している。

トランプ米政権は西岸の正式な併合には反対の立場を表明しているものの、入植地拡大には明確な制止を求めていない。このため、今回の動きが2国家解決の実現可能性をさらに遠ざけるとの懸念が国際社会で広がっている。

ヨルダン川西岸はパレスチナが将来の独立国家を望む主要地域だが、今回の登記制度によってイスラエルの行政・法的支配が強まり、領土的な現状固定化が進むとの見方が強まっている。パレスチナ側は外交的・法的な対抗措置を模索する意向を示しているが、地域情勢の緊張は今後も続く見込みだ。

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