イスラエル軍、ガザ全域を爆撃、60人死亡、停戦協議難航

ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は30日午後の時点で5万6531人、負傷者は13万4993人となっている。
2025年6月29日/パレスチナ自治区、ガザ地区南部の避難所(AP通信)

イスラエル軍が6月30日、パレスチナ・ガザ地区全域を空爆・砲撃し、過去24時間で少なくとも60人が死亡、数百人が負傷した。保健当局が明らかにした。

カタールの衛星テレビ局アルジャジーラは当局者の話しとして、「北部とガザ市の広い範囲で爆発が確認され、少なくとも5つの建物が倒壊し、大勢が瓦礫の下敷きになった」と伝えている。

トランプ(Donald Trump)米大統領が「ガザで合意を成立させ、人質を解放せよ」と発言した翌日、イスラエル政府の高官がワシントンDCを訪れていたことが明らかになった。

AP通信はイスラエル当局者の話しとして、ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相の腹心であるロン・ダーマー(Ron Dermer)戦略問題担当相がDCを訪れ、政府高官とガザ停戦について協議すると報じた。

ダーマー氏は30日に高官らと会談したとみられる。

しかし、ガザ地区で戦闘が収まる兆しはまったく見られず、イスラエル軍が各地でイスラム組織ハマスの根絶を目指し、地上作戦を継続中だ。

イスラエル軍は30日、ガザ北部の避難民が残るエリアに退去命令を出し、攻撃を激化させた。

ガザ市の避難所に身を寄せる男性はロイター通信の取材に対し、「爆発が止むことはなく、学校や住宅が爆撃され、粉々になった」と語った。

米国とイスラエルが主導するガザ人道財団(GHF)は5月27日に南部の複数のエリアで配給所の運営を開始。それ以来、この配給所付近で580人以上のパレスチナ人が殺害され、5000人近くが負傷している。

イスラエルとイランの戦争は米国の仲介で停戦にこぎつけたが、ガザ紛争が終結する見通しは立っておらず、イスラエルとハマスの停戦協議は完全に停滞している。

イスラエル側は5月末にトランプ米政権のウィトコフ(Steve Witkoff)中東担当特使が提示した停戦案を支持。ハマスは一部変更を求めている。

ウィトコフ氏は▽60日間の停戦▽ハマスの人質56人(遺体含む)のうち28人の解放▽1200人以上のパレスチナ人受刑者の解放▽ガザ地区への人道支援物資の搬入などを提案している。

ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は30日午後の時点で5万6531人、負傷者は13万4993人となっている。

多くのボランティアが行方不明者を捜索している。建物の倒壊に巻き込まれるなどして行方不明になった市民は1万~1万4000人と推定されている。

国連によると、ガザの領土の80%以上がイスラエルの支配下にあるか、強制退去命令を受けている。

SHARE:
この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします