イスラエル軍がイランの核施設を攻撃、非常事態宣言も
イスラエルのカッツ国防相はこの攻撃を「先制攻撃」と表現し、非常事態を宣言した。
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イスラエル国防軍(IDF)は12日、イランの核施設を含む数十の軍事施設を攻撃したと発表した。
IDFはこの作戦を「ライジング・ライオン」と名付け、イランが核兵器の取得に著しく近づいたと情報機関が特定したため、攻撃を決行したと述べた。
AP通信によると、イランの複数の都市で爆発音が聞こえたという。死傷者と被害の情報はなく、イラン政府はコメントを出していない。
APはこの作戦に精通している当局者の話しとして、「イランは核弾頭を製造するのに十分な濃縮ウランを保有している」と報じた。
オマーン外務省はこの日、イランと米国の6回目の核協議が15日に首都マスカットで開催されると発表した。
両国の代表団は先月、オマーン仲介のもと、5回目の間接協議を行った。
両国はそれぞれの提案を持ち帰り、検討後、次回協議を行う予定としていた。
米国はイランに核開発を放棄するよう求めている。
第1次トランプ政権は2018年、イラン核合意から一方的に離脱し、イランに厳しい経済制裁を科した。
イラン核合意は3.67%以上のウラン濃縮を禁止している。イランは5月時点で60%の濃縮ウランを408.6キログラム保有している。
<ウラン(U-235)の濃縮度>
▽0.7%:標準
▽2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
▽3.67%以下:イラン核合意の規定値
▽20%以上:高濃縮ウラン
▽90%以上:核兵器用
イスラエルのカッツ(Israel Katz)国防相はこの攻撃を「先制攻撃」と表現し、非常事態を宣言した。
カッツ氏は声明で、「我が国によるイランへの先制攻撃を受け、近い将来、我が国にミサイルやドローンが飛来することが予想される」と述べた。
この発表後、テルアビブで空襲警報が鳴った。
ルビオ(Maro Rubio)米国務長官は声明で、「イスラエルはイランに対して一方的な行動を起こした。我々はこの攻撃に関与しておらず、この地域における米軍の保護を最優先事項としている」と強調した。
イスラエルのネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相はビデオメッセージで「イランの核計画を阻止するために、先制攻撃を仕掛ける以外の選択肢はなかった」と述べた。
トランプ(Donald Trump)米大統領は13日、ソーシャルメディアへの投稿で「我々はイラン核問題の外交的解決に引き続きコミットしている」と述べ、イランに計画を完全に放棄するよう改めて求めた。
イランのペゼシュキアン(Masoud Pezeshkian)大統領は13日、イスラエルの攻撃前に声明を出し、「ウラン濃縮を続ける」と述べ、「施設が破壊された場合は再建する」と誓った。
イランは長い間、核兵器開発を否定してきた。しかし、イランはウラン濃縮を加速させ、兵器級とされる90%に近い60%の濃縮を続けている。
トランプ氏は1期目を通じて実践してきたイランに対する厳しい経済制裁を再開する大統領令に署名。イランの主要収入源である石油産業を標的とする制裁措置が発動した。
イランは平和利用であることを理由にトランプ政権の要求を拒否し、制裁を解除するよう求めている。
トランプ氏は最初の任期中、厳しい制裁を科し、イランの石油輸出をほぼゼロに追いやった。イランはバイデン政権下で制裁逃れに成功、輸出量は増加した。トランプ氏はこれを再びゼロにするつもりでいる。
イランの最高指導者ハメネイ(Ali Khamenei)師は先週、「米国の提案はイランの利益に反する」と一蹴し、ウラン濃縮を継続すると誓った。