◎採決の結果、法案は賛成52ー反対58で否決された。
イスラエル議会は6日、占領下のヨルダン川西岸に住むユダヤ人入植者の法的地位を強化する法案を反対多数で否決した。
約50万人のイスラエル人入植者が占領地で市民権と法律による保護を享受する一方、領土を奪われたパレスチナ人約300万人は西岸地区の外れに追いやられ、屈辱を味わっている。
主要な人権団体はユダヤ人の占領とパレスチナ人を辱める行為を「アパルトヘイトに等しい蛮行」と非難している。
しかし、連立政権を率いるベネット(Naftali Bennett)首相が提案した入植者の法的地位を強化する法案は否決・廃案となり、8つの政党で構成されるベネット政権の脆弱さが露見した。
ベネット政権は議会の過半数を維持しているが、今回の投票では一部の議員が反対に投じた。地元メディアは解散総選挙もあり得ると報じている。
採決の結果、法案は賛成52ー反対58で否決された。
<連立政権>
・イェシュアティド党:17議席
・青と白:8議席
・労働党:7議席
・イスラエル我が家:7議席
・ヤミナ:7議席(一度離党も復帰)
・新しい希望:6議席
・メレツ:6議席
・ラーム:4議席(アラブ派閥)
計62議席
<野党>
・リクード:30議席
・シャス:9議席
・トーラー・ユダヤ連合:7議席
・宗教シオニズム:6議席
・合同リスト:6議席
計58議席
地元メディアによると、アラブ政党のラームと入植を支持する極右政党の一部議員が投票を棄権したという。
ベネット政権はネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)前首相がもたらした2年にわたる政治的混乱の末、昨年発足した。
この政権にはアラブ人の権利を支持する政党が含まれている。その政党が離党すれば、ベネット氏は過半数を失い、高い確率で総選挙に踏み切らざるを得なくなるだろう。
法案は否決されたが、連立政権は何とか形を保っているように見える。地元メディアによると、ベネット氏は修正案を提出する予定だという。
極右政党の「新しい希望」はこの法案を成立させることができなければ離党もあり得るとベネット氏に圧力をかけている。
イェシュアティド党の党首であるラピド(Yair Lapid)外相はツイッターに、「我々は強くなって戻り、次のラウンドで勝つだろう」と投稿した。
ユダヤ人専用の要塞化された住宅地は占領下のヨルダン川西岸だけでなく東エルサレムでも拡大を続けている。
イスラエル人入植者によるパレスチナ人とその財産への攻撃は珍しくない。入植者はイスラエル軍の支援を受け、パレスチナ人を見下し、薄汚れた西岸地区の端っこで生活するよう促している。