イスラエル軍、ガザ全域を空爆、70人超死亡、数百人負傷

ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は10日午後の時点で5万4927人、負傷者は12万6615人となっている。
2025年6月10日/パレスチナ自治区、ガザ地区南部の配給所近く(AP通信)

イスラエル軍が10日、パレスチナ・ガザ地区の広い範囲を空爆し、過去24時間で70人以上が死亡、数百人が負傷した。保健当局が明らかにした。

カタールの衛星テレビ局アルジャジーラによると、空爆は夜明け前に始まり、南部ラファの食料配給所に向かって市民も巻き込まれたという。

ラファで活動する米国主導のガザ人道財団(GHF)の配給所近くでは10日、子供を含む少なくとも20人のパレスチナ人がイスラエル兵に射殺され、200人以上が負傷した。

GHFに対する国際的な批判が高まる中、イスラエルとイスラム組織ハマスの間接停戦協議は停滞しているように見える。

ハマスの指導者であるハリル・アルハヤ(Khalil al-Hayya)氏は先週、米国が提案した停戦案を拒否したつもりはなく、「ガザ戦争の終結を確実にする変更を求めている」と明らかにした。

イスラエル側はトランプ米政権のウィトコフ(Steve Witkoff)中東担当特使が提示した停戦案を支持している。

ウィトコフ氏は▽60日間の停戦▽ハマスの人質56人(遺体含む)のうち28人の解放▽1200人以上のパレスチナ人受刑者の解放▽ガザ地区への人道支援物資の搬入などを提案している。

GHFが5月27日に配給所の運営を開始して以来、150人以上がイスラエル兵に射殺された。

人権団体はこの配給所を「人間屠殺場」と呼び、「イスラエル兵がハマスを根絶やしにするために、手当たり次第に市民を殺害している」と主張している。

アルジャジーラはガザ当局者の話しとして、「イスラエル軍は配給所周辺に待ち伏せスポットを設け、人道支援と偽ってハマス戦闘員や関係者をあぶりだそうとしている」と報じた。

また当局者は「配給所がイスラエル軍の新たな攻撃拠点となり、援助を装って飢えた市民を死の罠に誘い込んでいる」と非難した。

ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は10日午後の時点で5万4927人、負傷者は12万6615人となっている。

多くのボランティアが行方不明者を捜索している。建物の倒壊に巻き込まれるなどして行方不明になった市民は1万~1万4000人と推定されている。

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