ガザ大飢饉、イスラエル軍の空爆続く、数百人死傷

ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は28日午前の時点で5万4084人、負傷者は12万3308人となっている。
2025年5月28日/パレスチナ自治区、ガザ地区南部のエジプト国境近く(Getty Images/AFP通信)

イスラエル軍が28日、パレスチナ・ガザ地区全域を空爆・砲撃し、過去24時間で少なくとも63人が死亡、数百人が負傷した。保健当局が明らかにした。

カタールの衛星テレビ局アルジャジーラによると、イスラエル軍はこの2日間、ガザ南部で援助を求める市民少なくとも10人を射殺したという。

アルジャジーラは目撃者の話しとして、「イスラエルと米国が南部に設置した食料配給センターに市民が殺到し、警備に当たる複数の兵士が群衆に向けて発砲、少なくとも10人が死亡した」と伝えている。

イスラエルは3月2日にガザ国境を封鎖。それ以来、物資の搬入はほぼ滞っている。

この結果、地区内のパン屋は全て閉鎖。負傷者の治療に必要な医薬品の大半が枯渇する事態となっている。国連は未曽有の大飢饉が迫っているとして、イスラエルに封鎖を解除するよう何度も呼びかけてきた。

イスラエル軍は先週、物資の搬入を部分的に認めたが、国連はイスラエルが搬入を許可した食料は市民が必要としている量の1%に満たないと指摘している。

トランプ(Donald Trump)米大統領はガザが危機的状況にあることを認識したうえで、米国主導の食糧支援を急ぐとしている。

イスラエル政府は今月初めの閣議でガザ地区での軍事作戦を拡大する計画を承認。計画にはガザの征服および住民の強制移住が含まれている。

イスラエルはガザ全土を占領したうえで、市民をガザ南部に強制移住させ、援助物資を配給・管理するとしている。

イスラエルのネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は28日、ガザへの空爆でイスラム組織ハマスの指導者ムハンマド・シンワル(Mohammad Sinwar)氏を殺害したと発表した。ハマスはコメントしていない。

ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は28日午前の時点で5万4084人、負傷者は12万3308人となっている。

多くのボランティアが行方不明者を捜索している。建物の倒壊に巻き込まれるなどして行方不明になった市民は1万~1万4000人と推定されている。

国連人道問題調整事務所(OCHA)は28日、イスラエル当局がOCHAのチームによる人道支援提供を妨害したと非難。「ガザの人道状況が過去最悪のレベルに達し、飢饉が進行中である」と警告した。

OCHAは声明で、「イスラエル当局はガザへの支援物資の搬入をわずかな量に制限し、栄養補助食品や医療品、小麦粉などは許可したものの、燃料や調理用ガス、避難所用品、衛生用品など、他のほとんどの物品の搬入を禁じた」と述べた。

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