イスラエル軍、ガザ全域で地上作戦展開、78人死亡、停戦交渉難航

ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は14日午後の時点で5万8386人、負傷者は13万9077人となっている。
2025年7月14日/パレスチナ自治区、ガザ地区中部ヌセイラトの避難民キャンプ(Getty Images/AFP通信)

イスラエル軍が14日、パレスチナ・ガザ地区全域での地上作戦を継続し、過去24時間で少なくとも78人が死亡、数百人が負傷した。保健当局が明らかにした。

カタールの衛星テレビ局アルジャジーラは南部ラファの食料配給所付近でイスラエル兵が発砲し、援助を求めていた5人が射殺されたと報じた。

パレスチナ通信(WAFA)によると、米国とイスラエルが主導するガザ人道財団(GHF)の配給所とその周辺で殺害されたパレスチナ人は838人に達したという。

GHFは5月27日に南部の複数のエリアで配給所の運営を開始。それ以来、配給所とその周辺で負傷した市民は6000人近くに達している。

南部ハンユニスでは避難民キャンプに爆弾が直撃し、9人が死亡、大勢が負傷した。

アルジャジーラによると、中部ヌセイラトの避難民キャンプでも大きな爆発があり、少なくとも4人が死亡、複数の建物が倒壊したという。

イスラエル軍は北部とガザ市での攻撃も強化し始めた。

イスラエルメディアは14日、ガザ市で活動する戦車部隊がイスラム組織ハマスの攻撃を受け、その後ヘリコプターが負傷者を搬送する様子が確認されたと報じた。

イスラエル軍はその後、この攻撃で3人の兵士が死亡したと明らかにした。

アルジャジーラはパレスチナ当局者の話しとして、「イスラエル軍は中部デイル・アル・バラフで大規模な空爆を実施し、住宅ビルを含む複数の建物が倒壊、大勢が瓦礫の下敷きになった」と報じた。

イスラエルとハマスの停戦交渉は難航しており、立場の隔たりが埋まるかは不透明な情勢だ。

トランプ(Donald Trump)米大統領は今月初めにイスラエルが60日間の停戦に向けた条件に同意したと明らかにした。

イスラエルの政府高官は双方が60日間の停戦に合意した場合、イスラエルはその期間を利用して、ハマスが武装解除することを条件とする恒久的な停戦を提案する用意があるとしている。

イスラエル側は5月末にトランプ政権のウィトコフ(Steve Witkoff)中東担当特使が提示した停戦案を支持。ハマスは一部変更を求めていた。

ウィトコフ氏は▽60日間の停戦▽ハマスの人質56人(遺体含む)のうち28人の解放▽1200人以上のパレスチナ人受刑者の解放▽ガザ地区への人道支援物資の搬入などを提案していた。

トランプ氏はイスラエルが同意した停戦の条件を明らかにしておらず、ウィトコフ氏が示した案と同じかは不明である。

ハマスは過去の協議で「恒久的な停戦」を求めてきた。

一方、ハマス壊滅を目指すイスラエルは「期間を定めた停戦」には応じる姿勢を示している。

ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は14日午後の時点で5万8386人、負傷者は13万9077人となっている。

多くのボランティアが行方不明者を捜索している。建物の倒壊に巻き込まれるなどして行方不明になった市民は1万~1万4000人と推定されている。

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