◎イスラエル政府は今年初めから春にかけてイスラエル人19人がテロ攻撃で殺害されたことを受け、ヨルダン川西岸の取り締まりを強化し、武装勢力の戦闘員を逮捕または殺害している。
ヨルダン川西岸地区、銃を構えるイスラエル兵(Getty Images)

パレスチナ自治政府は3日、イスラエル軍がヨルダン川西岸地区の難民キャンプを襲撃し、パレスチナ人2人を射殺したと発表した。

イスラエル軍は声明で、「ラマラ郊外の難民キャンプで容疑者を逮捕しようとしたところ、パレスチナ人2人が兵士を車でひき殺そうとしたため、発砲した」と説明している。

しかし、難民キャンプの住民はロイター通信に、「殺害された2人は建設現場の作業員で、職場に向かう途中だった」と説明した。

パレスチナの公式通信社WAFAによると、イスラエル軍は射殺した2人の遺体を収容し、同じ車に乗っていた男性を拘束したという。

パレスチナ自治政府は2人が射殺されたことを確認したと報告したが、身元は明らかにしていない。拘束された男性の安否も不明である。

事件が報じられるとラマラの中心部には怒れる抗議者数十人が集まり、「アッラーは偉大なり」と唱えながら通りを行進した。

イスラエル政府は今年初めから春にかけてイスラエル人19人がテロ攻撃で殺害されたことを受け、ヨルダン川西岸の取り締まりを強化し、武装勢力の戦闘員を逮捕または殺害している。

パレスチナに拠点を置く人権団体HaMokedによると、イスラエル当局はパレスチナ人約800人を裁判にかけることなく不当に拘留しているという。

今年、イスラエル当局の取り締まりで死亡したパレスチナ人は9月末の時点で100人に達し、さらに増えると予想されている。当局によると、死亡したパレスチナ人の大半は武装勢力の戦闘員もしくは、それとつながりのある犯罪者だという。

しかし、パレスチナ当局は非武装の若者や武装勢力と全く関係のない市民も殺害されていると主張している。

イスラエルのメディアによると、当局は4日の夜から始まるユダヤ歴で最も神聖な日「ヨム・キプール(大贖罪日)」に先立ち、ヨルダン川西岸の警備を強化したという。

イスラエルは1967年の第三次中東戦争でガザ地区、シナイ半島、ヨルダン川西岸地区、ゴラン高原、イスラム教の聖地アルアクサ・モスクを含む東エルサレムを占領。2005年にガザ地区から軍とユダヤ人入植者を撤退させた。

ガザ地区とヨルダン川西岸地区に追いやられた数百万のパレスチナ人はみじめな生活を送っている。

2022年4月7日/イスラエル、首都テルアビブの中心部、銃撃事件が発生したバー(Ariel Schalit/AP通信)
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