◎法案が採択されれば、議会は過半数の賛成で最高裁の判決を覆すことができるようになる。
2023年3月11日/イスラエル、首都テルアビブ、政府の司法制度改革に抗議するデモ(Ohad Zwigenberg/AP通信)

イスラエル全土で11日、ネタニヤフ政権の司法制度改革に反対する集会やデモ行進が行われ、数万人が参加した。

このデモは2カ月以上前から毎週定期的に行われており、10週目に突入した。

ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は汚職容疑で公判中にもかかわらず、司法制度の見直しを政策の柱に掲げ、リベラル派で構成される最高裁の判決を覆す権限を連邦議会に付与すると誓っている。

法案が採択されれば、議会は過半数の賛成で最高裁の判決を覆すことができるようになる。

ネタニヤフ氏は11日、平和的な抗議デモの権利を尊重するとSNSに投稿したうえで、必ず法案を成立させると誓った。

アナリストや活動家たちはネタニヤフ政権の法案がそのまま成立すれば、国のチェックアンドバランス(権力が特定の期間や部門に集中することをさけ、各部門間相互の均衡をはかること)が機能しなくなると非難している。

首都テルアビブの抗議デモに参加した男性はAP通信の取材に対し、「イスラエルの民主主義は危機に瀕している」と語った。

テルアビブ中心部の通りでは、米国のテレビドラマシリーズ「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語(原題:The Handmaid's Tale)」の登場人物に扮した女性活動家数百人が行進した。

改正案に反対する一連のデモはイスラエルを近年最悪の情勢不安に陥れている。

何万人ものイスラエル人が街頭で抗議し、暴力事件も多数報告されている。経済界のリーダーたちもこの改正案が国に「壊滅的な」な影響を与えると批判し、社会全体で反対運動が展開されている。

ネタニヤフ氏は9日、空港に向かう途中、デモ隊に進路を妨害され、ヘリで空港まで空輸された。

イスラエル軍の一部高官も改革に懸念を示し、デモに参加している。

一部のアナリストは、「ネタニヤフ氏は汚職裁判で有罪を言い渡されても、議会でこれを覆すことができる」と指摘している。

しかし、ネタニヤフ氏はこれを否定し、「法改正と裁判は一切関係ない」と主張している。

デモは主にイスラエルの世俗的な中産階級が主導している。ヨルダン川西岸地区やガザ地区のパレスチナ人はイスラエル軍の差別的な取り締まりに直面していることもあり、ほとんど姿を見せていない。

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