◎ネタニヤフ氏は抗議デモに参加する野党議員を批判し、自分を「魔女狩りの犠牲者」と呼んでいる。
2023年2月18日/イスラエル、首都テルアビブ中心部、政府の司法制度改革に反対するデモ(Ohad Zwigenberg/AP通信)

イスラエルの首都テルアビブで18日、政府の司法制度改革に反対する集会が開かれ、数万人がネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相に抗議した。

報道によると、集会はテルアビブの中心部で行われ、その他の都市でも数百人がデモ行進を行ったという。

デモ隊は超国家主義政党「ユダヤの家」を率いるベン・グヴィル(Itamar Ben Gvir)治安相とレビン(Yariv Levin)法相に辞任を要求した。

テルアビブではレビン氏が先月初めに改革案を発表して以来、毎週数万人規模の集会が開かれている。

ネタニヤフ氏は汚職容疑で公判中にもかかわらず、司法制度の見直しを政策の柱に掲げており、リベラル派で構成される最高裁の判決を覆す権限を連邦議会に付与したいと考えている。

改革案が承認されれば、議会は過半数の賛成で最高裁の判決を覆すことができるようになる。

ネタニヤフ氏を支持する極右勢力はこの改革案でパレスチナの武装勢力を一網打尽にできると主張。ある過激派グループはネタニヤフ氏に東エルサレムからアラブ人を追放するよう求めている。

しかし、デモ隊と人権団体は改革案で司法が弱体化し、チェックアンドバランス(権力が特定の期間や部門に集中することをさけ、各部門間相互の均衡をはかること)が機能しなくなると非難している。

一部のアナリストは「ネタニヤフ氏は汚職裁判で有罪判決を受けても、議会でこれをひっくり返すことができる」と指摘している。

ネタニヤフ氏は抗議デモに参加する野党議員を批判し、自分を「魔女狩りの犠牲者」と呼んでいる。

デモ隊は「自由・正義・平和」「腐ったバナナ共和国」などと書かれた横断幕を掲げ、ネタニヤフ氏に抗議した。

デモに参加したイスラエル軍のハルツ(Dan Halutz)前参謀総長はSNSに、「この法案は受け入れられない」と投稿した。

ヘルツォグ(Isaac Herzog)大統領は19日、ネタニヤフ氏に野党との妥協点を模索し、司法制度改革を延期するよう提案した。

しかし、議会で過半数を保持する連立与党は20日から法案の審議を開始する予定だ。

ネタニヤフ氏の与党リクードは昨年11月の議会選で議席を伸ばした。リクードとタッグを組む極右の超国家主義政党「宗教シオニズム」も大きく議席を伸ばしている。

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