イスラエル政府、シリア軍のスウェイダへの立ち入り許可、2日間のみ

スウェイダでは先週末、アラブ遊牧民ベドウィンと地元の治安部隊が衝突し、銃撃戦に発展。子供を含む多くの一般人が巻き込まれた。
2025年7月16日/シリア、南部スウェイダ県、ドルーズ派の市民(AP通信)

イスラエル政府は18日、シリア軍がシリア南部スウェイダ県に立ち入ることを許可したと明らかにした。

スウェイダでは先週末、アラブ遊牧民ベドウィンと地元の治安部隊が衝突し、銃撃戦に発展。子供を含む多くの一般人が巻き込まれた。

スウェイダでドルーズ派を巻き込む暴力が発生したのは数カ月ぶりであった。

ドルーズ派はイスラム教シーア派の分派のひとつ。世界の約100万人のドルーズ派の半数以上がシリアに住んでいる。

他のドルーズ派のほとんどは1967年の第三次中東戦争でイスラエルがシリアから奪取し、1981年に併合したゴラン高原を含むイスラエルに住んでいる。

イギリスのNGOシリア人権監視団は18日、最新の衝突により少なくとも321人が死亡し、犠牲者の数は増える可能性が高いと明らかにした。

イスラエル当局は声明で、「我々はシリア軍がスウェイダへの限定的なアクセスを2日間許可することで同意した」と述べた。

シリア大統領府も声明を出し、「スウェイダに部隊を派遣し、治安回復に向けた措置を講じ、暴力の再発を防ぐ」と発表した。

暫定政府は今週初めに軍を派遣して戦闘を鎮圧しようとしたが、イスラエルは軍がドルーズ派を弾圧しようとしていると主張。首都ダマスカスの国防省本部や軍施設を空爆した。

イスラエル政府は軍がスウェイダに近づくことを許さず、応じなければ何度でも爆撃すると警告。イスラエル国境に近い地域への部隊の展開を許さないという立場を示していたが、2日間であれば認めるとした。

シリアでは4月と5月にもドルーズ派を巻き込む衝突やテロが相次ぎ、数十人が死亡した。

シリア人権監視団によると、一連の衝突により、子供や女性を含む321人が死亡。処刑された人もいたという。

暫定政府は87人の遺体を収容したと報告している。

被害の全容は明らかになっていない。

暫定政府は少数民族、特に北東部のクルド人や南部のドルーズ派との政治的和解を達成するのに苦労している。

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