イスラエル軍、ヒズボラ拠点への空爆中止、レバノン軍の要請受け
今回対象となったのはイスラエルがヒズボラのインフラとみなす建物で、これまでにも同地域では小規模な衝突や停戦違反の非難が繰り返されてきた。
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イスラエル軍は13日、レバノン南部の集落に対する空爆を中止したと発表した。これはレバノン軍が停戦合意違反とされる地点への立ち入りを要請したためであり、両軍が合意監視の枠組みで調整した結果だとしている。今回の動きは2024年11月に米国の仲介で成立したイスラエルとヒズボラ間の停戦合意以降、緊張が続く国境地帯での新たな局面を示す。
イスラエル軍の報道官は声明で、予定していた空爆に先立ち、対象集落の住民に避難警告を出していたと説明した。その後、レバノン軍が合意違反とされた地点に立ち入り、状況に対処するためのアクセス許可をイスラエル側に求めたため、軍は空爆を中止する決定を下したという。報道官は「現地の状況を監視しつつ、レバノン軍と連絡を取っている」と述べた。
今回対象となったのはイスラエルがヒズボラのインフラとみなす建物で、これまでにも同地域では小規模な衝突や停戦違反の非難が繰り返されてきた。イスラエルとヒズボラは1年以上に及んだ戦闘を終結させることで合意したが、その後も互いの違反を巡って非難の応酬を続けている。
イスラエル側はヒズボラが停戦後も勢力再編や配置転換を図っているとみなし、定期的に南レバノンの標的に対して攻撃を行っている。今週初めにも、複数の地点でヒズボラ関連のインフラを空爆、これに対してレバノン政府は停戦違反だと反発している。
レバノン側にとって、南部地域は歴史的にヒズボラの影響力が強く、同組織は国軍と並行して事実上の統制力を保持してきた。停戦監視のメカニズムには国連レバノン暫定軍(UNIFIL)も加わっているが、完全な停戦の履行やヒズボラの武装解除に向けた進展は限定的だという指摘もある。
今回のようにレバノン軍が合意違反の疑いのある現場にアクセスしようとする動きは、両国が停戦を維持しつつも緊張緩和に向けた調整を図る努力の一環とみられている。
国際社会は中東地域全体での安定化に向けて両国間の停戦履行とヒズボラの武装解除を求めている。特に米国は停戦合意の枠組みを尊重しつつヒズボラの武装解除を促すための外交的取り組みを継続してきた。今回の空爆停止は一時的な緊張回避の側面を持つが、根本的な対立要因の解消には至っていない。
