イスラエル、東エルサレムからのパレスチナ人立ち退きを加速
聖地アルアクサ・モスクの南側に位置するこの地区では、老朽化した住宅をめぐる法的手続きが続く中、32世帯以上に退去を命じる最高裁判所の命令が出されており、住民らはラマダン明けの3月中旬までに家を明け渡すよう求められている。
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イスラエル当局は28日、東エルサレムのパレスチナ人居住地区シルワンでパレスチナ人に対する立ち退き命令の執行を強化していると明らかにした。聖地アルアクサ・モスクの南側に位置するこの地区では、老朽化した住宅をめぐる法的手続きが続く中、32世帯以上に退去を命じる最高裁判所の命令が出されており、住民らはラマダン明けの3月中旬までに家を明け渡すよう求められている。
立ち退きを命じられた男性はロイター通信の取材に対し、1967年に生まれ育った家から追い出される可能性があると語った。男性の家はかつてヨルダン軍将校から購入した土地に建ち、家族は長年シルワンで生活してきたという。しかし、周囲には大きなイスラエル国旗を掲げた建物が次々に建ち、これは入植者グループが所有する住宅であることを示すものだという。
今回の立ち退き命令の背景には、イスラエルの入植者組織「アテレット・コハニム(Ateret Cohanim)」の活動がある。この組織は2004年からシルワンの不動産を購入し、買収や強制立ち退きによって約40棟の建物を取得したとされる。アテレット・コハニム側はこれらの土地は1929年以前にイエメン系ユダヤ人が所有していたと主張し、現在の行動は歴史的な権利の回復だとしているが、パレスチナ側や批評家はこの説明を否定している。
立ち退きを拒否してきたパレスチナ人には金銭的な買収提案もなされたが、多くがそれを断ってきたという。彼らは自分たちの住居を失うことは単に住まいを失うだけでなく、東エルサレム全体におけるパレスチナ人の存在感を薄め、長年の土地への定着と将来の国家建設の希望を損なうものだと訴えている。
イスラエル政府は東エルサレム全域を同国の不可分な首都とみなしているが、この立場は国際的には広く認められていない。パレスチナ人は東エルサレムを将来の独立国家の首都と位置付け、立ち退き強化はその実現をさらに難しくするとの懸念が強まっている。また、2023年10月のガザ紛争以降、入植者の地域への浸透やパレスチナ人の追い出しに対する国際社会の批判が高まっている。
人権団体や国際機関はこれらの立ち退きがパレスチナ人に対する強制移住に当たると懸念を表明し、イスラエル政府に対して国際法に基づく住民保護の徹底や、立ち退き手続きの見直しを求めてきた。一方、イスラエル側は司法手続きに則った対応だと強調し、法的根拠に基づく決定であるとの立場を示している。
立ち退きの強化はイスラエル・パレスチナ問題の中でも極めて敏感なテーマであり、両者の対立に新たな緊張を生む要因となっている。東エルサレムの地位をめぐる争いは今なお解決の糸口が見えないままだ。今回の動きは今後の和平交渉や地域の安定に重大な影響を及ぼす可能性がある。
