イスラエル政府がレバノンとの協議模索、対ヒズボラ戦続く中
イスラエル軍はレバノン国内のヒズボラ拠点を標的に大規模な空爆や地上攻撃を展開し、ベイルートや南部地域を含む多数の地点で砲撃や爆撃が続いている。
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米国とイランの間で停戦が成立した直後、イスラエルがレバノンの親イラン組織ヒズボラに対する軍事作戦を強化し、停戦が大きく揺らいでいる。
イスラエルのネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は9日、レバノン政府との直接対話を模索すると表明した。これはヒズボラに対する攻撃が激化し、首都ベイルートを含む広範な地域で空爆が続いていることを受けての動きである。ネタニヤフ氏は米国とイランの停戦合意自体には支持を示すものの、「停戦合意にレバノンは含まれない」と強調し、イスラエルとしてはヒズボラとの戦いを継続する方針を堅持した形だ。
トランプ政権も同様に、今回の停戦は米イラン間の衝突に限定されるとして、レバノンでの軍事行動停止は合意の対象外だと明言している。
これに対して、レバノン政府は停戦を前提とした包括的な交渉の必要性を訴えている。アウン(Joseph Aoun)大統領は停戦に向けた協議を行いながら幅広い和平交渉を進めるため、暫定的な停戦を求める意向を示した。これにより、将来的にはイスラエル政府とレバノン政府の間で直接的な対話の機会を設けることを目指しているが、具体的な日程や場所についてはまだ決まっていないという。米国を保証人として交渉を進める必要性も強調されている。
一方、現地の戦況は停戦合意とは裏腹に激しいままだ。イスラエル軍はレバノン国内のヒズボラ拠点を標的に大規模な空爆や地上攻撃を展開し、ベイルートや南部地域を含む多数の地点で砲撃や爆撃が続いている。8日の爆撃では300人以上が死亡、1000人以上が負傷したと伝えられている。ヒズボラ側は当初停戦への協力姿勢を示していたが、イスラエルの攻撃継続を受けてロケット攻撃を再開し、停戦合意の脆弱さが浮き彫りになっている。
この状況に対し、イラン側も強い反発を示している。イラン政府はレバノンでの戦闘の激化が停戦合意違反にあたるとの立場を示し、現在の局面では和平協議が非現実的であるとの見解を示した。またイランはホルムズ海峡の完全封鎖を宣言し、戦略的に重要な海上輸送路を巡る緊張も再燃している。
イスラエルが「停戦の対象外」とする立場と、レバノン側やイランが停戦の適用範囲にレバノンを含めるとする見解との間で、停戦合意の解釈を巡る隔たりが生じている。停戦の枠組みを巡るこの溝は4月11日にパキスタン・イスラマバードで予定されている米イラン間の停戦協議にも影響を与える可能性があり、国際社会の注目が集まっている。
一部の仲介国は停戦の維持と地域全体の安全保障を守るために、包括的な和平交渉が不可欠だとする声が上がっている。レバノンとイスラエル間の対話を進めることがヒズボラを含む武装勢力の影響を抑え、さらなる戦闘の拡大を防ぐ鍵だとの見方もある。しかし、現地では戦闘が続き、停戦適用範囲をめぐる論争が和平への道を一層複雑なものにしている。今後の交渉の進展と停戦の履行が注目される局面である。
