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イスラエル、パレスチナ人15人の遺体を返還、停戦合意の一環

これは米国が仲介した和平計画の「第1段階」を完了し、次の段階へ移行する重要な節目とみなされている。
2025年6月26日/パレスチナ自治区、ガザ地区南部ラファの医療機関近く(AP通信)

イスラエル政府は29日、パレスチナ・ガザ地区における停戦・人質交換合意に基づき、パレスチナ人15人の遺体を国際赤十字委員会(ICRC)を通じて引き渡したと発表した。これは米国が仲介した和平計画の「第1段階」を完了し、次の段階へ移行する重要な節目とみなされている。引き渡された遺体はガザ市内の病院に運ばれ、家族らが確認を進めているという。

この引き渡しはイスラエル軍が今週初めにガザで発見・身元確認した最後のイスラエル人捕虜の遺体と引き換えに実施された。2年半にわたる戦闘でハマスなど武装組織に拘束された人質251人のうち、最後の1人とされる男性兵士の遺体が本国に戻ったことにより、停戦合意の主要条件が一応満たされた形だ。

今回の遺体返還は昨年10月に発効した協定の一環で、これまでに生存者の解放や多数のパレスチナ人受刑者、遺体の交換が進められてきた。ICRCは遺体返還の支援について「家族が愛する人と再会し、悲しみに向き合う機会を提供した」とコメントしている。ガザの保健当局は受領した15人の遺体の身元確認を急いでいるが、これまでに引き渡された多くの遺体は識別困難な状態である。

一方、停戦は依然として脆弱なままであり、合意違反とみられる銃撃や空爆が続いている。ガザ保健省によると、10月の停戦開始以降、イスラエル軍の攻撃により少なくとも490人のパレスチナ人が死亡した。またイスラエル側でも兵士が武装勢力との衝突で複数死亡し、双方が違反を非難し合っている。

和平計画の第2段階への移行に向け、米国やエジプト、カタールなどが仲介役となり協議が進むが、主要な課題が多く残されている。米主導の計画では、ハマスの武装解除や国際的な平和維持部隊の展開、ガザ地区の再建が掲げられているものの、ハマス側は武装解除に強い反発を示し、条件を巡る対立は深い。

イスラエル政府はガザの再建について、武装解除が先決であるとの立場を繰り返しており、ハマス側との信頼構築は容易ではないとの見方が強い。国際社会も和平プロセスの進展を支持しつつも、暴力の再燃や人道危機の深刻化を懸念し、停戦の恒久化と政治的解決への道筋の明確化を求めている。

今回の遺体引き渡しは双方にとって象徴的な出来事であると同時に、和平プロセスが新たな段階に入る契機となる可能性がある。しかし、戦闘の停止や紛争の本質的な解決には依然として多くの課題が横たわっている状況だ。

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