◎イスラエル政府は、2007年6月の紛争でイスラム過激派組織ハマスがガザ地区の支配権を掌握して以来、エジプトと協力してガザ地区に対する封鎖を維持してきた。
2021年7月18日/パレスチナ、ガザ地区の市場(Khalil Hamra/AP通信)

8月31日、イスラエル政府はパレスチナのガザ地区に科していた厳しい封鎖制限を緩和し、切望されていた建設用資材の搬入が始まったと発表した。

ガザ地区を実行支配するイスラム過激派組織ハマスの活動家は先日、イスラエルの領土に向けて爆弾気球を複数発射し、多くの山火事を引き起こした。また、イスラエルとの国境沿いで先日発生した衝突ではイスラエル国境警備隊の兵士1人が銃撃を受け、30日に死亡した。なお、パレスチナの12歳の少年とハマスの活動家も銃撃を受け死亡している。

パレスチナの貨物輸送を指揮するバッサム・ガビン氏は31日の声明で、「セメント30トンを積んだミキサー車、砂利120トンと建設材料15トンを積んだトラックがケレム・シャロム検問所を通過した」と述べた。

パレスチナの民間問題を担当するイスラエルの防衛機関、ロコン占領地政府活動調整官組織(COGAT)は先週、「治安状況が安定すれば、建築資材を含むより多くの商品をガザ地区に搬入することを計画している」と述べていた。

イスラエル政府は、2007年6月の紛争でハマスがガザ地区の支配権を掌握して以来、エジプトと協力してガザ地区に対する封鎖制限を維持してきた。一部の専門家はガザ地区の封鎖を「集団懲罰」と非難したが、イスラエル政府はハマスの再武装を防ぐための措置と主張し、封鎖を維持した。

イスラエルとハマスは2008年以来4つの紛争で衝突し、イスラエル政府は5月に勃発した最新の紛争後に封鎖を強化した。イスラエル軍の空爆で破壊または損傷した数千の家屋は建設用資材を必要としていたが、封鎖の影響で物資は届かず、多くの市民が今も避難所に身を寄せている。

ハマスの活動家たちは31日、イスラエルの国境沿いで抗議デモを行い、封鎖の完全解除を呼びかけた。ガザ地区の保健当局によると、デモに参加したパレスチナ人3人がイスラエル軍の銃撃を受け軽傷を負ったという。

一方、調停者のエジプトは、イスラエルとハマスに長期の停戦協定に合意するよう呼びかけたが、イスラエル政府はハマスに奪われたイスラエル兵2人の遺体と、誘拐されたと伝えられているイスラエル人2人の返還を要求し、交渉は物別れに終わった。

封鎖制限の完全解除を求めるイスラエルの人権団体は政府の決定について、「ガザ地区が受けた被害の規模とイスラエル政府がパレスチナ人に科した罰を考えると不十分だが、建設用資材の運び込みが許可されたことは重要」と述べた。

2021年5月15日/パレスチナ、ガザ地区で活動している海外の主要メディアが入っていたビル(EPA通信/Getty Images/AFP通信)
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