◎地元メディアによると、イスラエル軍のタカ派はベンヤミン・ネタニヤフ首相が停戦に合意したことに不満を示したという。
5月21日、パレスチナ人はイスラエル軍とイスラム過激派組織ハマスが停戦に合意したことを受け、エルサレムの聖地アル=アクサー・モスクに集結し、停戦とハマスの勝利を祝った。一方、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、新たな敵対行為に対しては「新たなレベルの力」で対応すると誓約した。
AP通信によると、ガザ地区の死者は子供66人を含む243人に達し、1,900人以上が負傷したという。ハマスは上級司令官数十人の死亡を認め、他のジハード組織の幹部も数十人死亡したと伝えられているが、イスラエル軍は司令官を含む戦闘員を200人以上殺害したと主張している。イスラエルでは子供2人を含む12人の死亡が確認され、数十人が重軽傷を負った。
ネタニヤフ首相は21日の声明で、「ロケットの小雨が停戦協定に影響を与えないという考えは間違っている」と警告した。「ハマスがイスラエルに対して敵対行為を見せた場合、私たちは新しいレベルの力で対応します。イスラエルの国民を傷つける行為は全て敵対行為とみなします」
地元メディアによると、イスラエル軍のタカ派はネタニヤフ首相が停戦に合意したことに不満を示したという。しかし、ネタニヤフ首相は、「イスラエルは不必要な冒険に引きずり込まれることなく、偉業を成し遂げた」と述べ、ハマスに最大の被害をもたらしたと主張した。「イスラエルは犠牲者を最小限に抑えながら、ハマスを叩きのめしました」
一方、エルサレムの聖地アル=アクサー・モスクでは停戦協定が発効したにもかかわらずイスラエル警察とパレスチナ人の衝突が発生した。現地メディアによると、衝突が発生した理由は不明で、警察はスタングレネードと催涙ガスをパレスチナ人に向け発射したという。
一部のパレスチナ人はハマスの旗を振りまわし、大声で「私たちはイスラエルに勝利した」と叫び、警察に石を投げつけたと伝えられている。イスラエル警察は声明で、暴動に関わった16人を逮捕したと述べた。
ヨルダン川西岸地区でも新たな衝突が発生した。現地メディアによると、ハマスの旗を持った一部の暴徒がイスラエル軍の兵士に石を投げつけたという。
双方が停戦に合意したことを受け、何千人ものパレスチナ人がガザ地区を訪れた。ある男性グループはパレスチナとハマスの旗を振り、お菓子を配り、角笛を鳴らし、花火を打ち上げ、「ハマスはユダヤ人に勝利した」と叫んでいた。
祝賀会は東エルサレムとヨルダン川西岸地区でも開催され、多くのパレスチナ人が参加した。
戦闘中閉鎖されていたガザ地区の野外市場も21日から再開した。ある買い物客は現地メディアの取材に対し、「いつ戦闘が始まるか分からないので、野菜を多めに購入しようと思います」と述べた。
野菜店の店主、アシュラフ・アブ・モハマド氏はAP通信の取材に対し、「人生を再建するために働く」と述べた。「戦争はパレスチナ人を苦しめ、家族を殺します。しかし、これはパレスチナの運命であり、私たちは忍耐強く敵に立ち向かいます」
地元メディアによると、国際赤十字赤新月社連盟の救助隊は危険すぎて立ち入ることのできなかった地域の捜索活動を開始し、遺体を回収したという。地元メディアは、ガザ地区南部の町カーンユーニスで3歳の子供を含む5人の遺体が回収されたと報じた。
ハマスは20日の声明でイスラエル軍に勝利したと主張したが、領土の住民は失業、コロナウイルス、住居とインフラの崩壊、家族の死という四重苦に直面している。
アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は、「イスラエルとパレスチナのより良い未来を築くために話し合う予定です」と述べた。米国務省によるとブリンケン国務長官は近日中に地域を訪問する予定だという。
ジョー・バイデン大統領は停戦を歓迎した。「アメリカはイスラエルの迎撃ミサイルの供給をサポートしました。そして、ハマスではなく国際的に認められたパレスチナ自治政府と協力してガザ地区に人道支援を提供すると約束しました...」
ネタニヤフ首相は、タカ派の民族主義グループの激しい非難に直面した。首相に反対する小党を率いるギドン・サール議員は停戦を「恥」と呼んだ。
極右のユダヤ人政党の党首、イタマール・ベン・グビル議員はイスラエルテレビチャンネル13のインタビューの中で、「政府はイスラエル南部のアラブ人を殴りつけ、ハマスを打倒してガザ地区を完全に占領すべきだ」と主張した。
一方、パレスチナのジハード軍を含む過激派は、「ネタニヤフはアル=アクサー・モスクにおけるイスラエル警察と軍の取り締まりを停止し、シェイクジャラ地区で計画されていたパレスチナ人の追放を中止することに同意した」と主張した。
停戦協定を仲介したエジプトの当局者は地元メディアの取材に対し、「エルサレムの緊張は対処される」とだけ述べた。
イスラエル・ガザ紛争のタイムライン
・4月13日:イスラエル警察とパレスチナ人が東エルサレムで衝突。パレスチナ人はイスラム教の聖なる月の最初の夜に東エルサレムのアル=アクサー・モスクで祈りを捧げる予定だった。
・4月15日:ハマスがイスラエルに向けてロケットを発射。
・4月19日:イスラエルの港湾都市ヤッファでアラブ人とユダヤ人が衝突。
・4月20日:ユダヤ人のギャングが、TikTokで共有された正統派ユダヤ人に対する偏見に腹を立て、アラブ人への攻撃を呼びかける。その後、ギャングとアラブ人は小競り合いを演じた。
・4月23日:保守的な数百人のユダヤ人が「アラブ人に死を」と叫びながらダマスカス門に向けて行進を行う。アラブ人は激しく反発し、衝突に発展した。
・4月24日:ガザ地区からロケットが発射される。イスラエル軍は空爆で応戦した。
・5月2日:ハマスがアラブ人に「人間の盾」を形成するよう呼びかける。
・5月4日:ガザ地区のイスラム過激派組織がイスラエルで焼夷弾攻撃を決行。各地で火災が発生した。
・5月7日:ヨルダン川西岸でイスラエル警察とパレスチナ人が衝突。パレスチナ人2人が射殺され、1人が負傷した。
・5月8日:東エルサレム周辺でイスラエル警察とアラブ人が衝突。
・5月10日:アラブ人がイスラエル警察に対する投石攻撃を本格化させる。この日の衝突でアラブ人300人以上が負傷した。
・5月10日:ハマスがイスラエル南部へのロケット攻撃を開始。ネタニヤフ首相は声明で、「敵はレッドラインを越えた」と述べ、空爆開始を宣言した。
・5月21日:停戦協定発効。
イスラエルは1967年の第三次中東戦争でガザ地区、シナイ半島、ヨルダン川西岸地区(東エルサレム含む)、およびゴラン高原を占領したが、国際社会はこれを認めていない。
聖地エルサレムを奪われた数百万人のパレスチナ人はガザ地区とヨルダン川西岸地区に押し込められ、みじめな生活を送っている。