◎来週初めに予定されているクネセト（議会）の投票で野党の連立が承認されれば、12年続いた保守的なネタニヤフ政権の統治は終了する。
6月2日、イスラエルの野党党首は新しい連立政権を形成する協議で合意に達したと発表した。
ヤミナ党のナフタリ・ベネット党首は記者団に対し、「新政府はイスラエルの全ての市民のために行動する」と述べた。「私たちはイスラエルを団結させるために、あらゆることをすると約束します」
最大野党イェシュ・アティッド党のヤイール・ラピッド党首とベネット議員は連立に向けた交渉の締め切り直前に記者会見を開き、合意に至ったと発表した。これにより、2019年から始まったイスラエル総選挙祭りは4回目で終了することがほぼ決まった。
来週初めに予定されているクネセト（議会）の投票で野党の連立が承認されれば、12年続いた保守的なネタニヤフ政権の統治は終了する。
詐欺罪で裁判にかけられているネタニヤフ首相は職にとどまることを切望しており、チーム野党の権力奪取を防ぐためにあらゆることをすると期待されている。しかし、アラブ政党はネタニヤフ首相を嫌っており、リクード党が第一党を維持できる可能性は低い。
＜2021年3月の議会選挙：120議席＞
・リクード党：30議席
・イェシュ・アティッド党：17議席（反ネタニヤフ）
・シャス党：9議席
・青と白：8議席（反ネタニヤフ）
・ヤミナ党：7議席（反ネタニヤフ）
・労働党：7議席（反ネタニヤフ）
・イスラエル・ベイテヌ：7議席（反ネタニヤフ）
・トーラー・ユダヤ連合：7議席
・新しい希望：6議席（反ネタニヤフ）
・合同リスト：6議席（反ネタニヤフ）
・宗教シオニズム：6議席
・メレツ党：6議席（反ネタニヤフ）
・ラーム党：4議席
ネタニヤフ首相はイスラム過激派組織ハマスとのガザ紛争でアラブ人とユダヤ人の分裂と暴動および、深刻な経済的損失を引き起こしたと非難されている。
保守派とユダヤの超正統派の一部はコロナワクチンの展開で大きな成果を上げたネタニヤフ首相を擁護しているが、地元メディアは「ネタニヤフ首相は野党党首になる」と報じた。
現地メディアによると、ラピッド議員とベネット議員は合意に基づき、首相のイスを分割するという。連立が承認されれば、最初の2年間はベネット議員、残りの2年間はラピッド議員が首相を務める予定。
連立にはイスラム主義政党の合同リストも合意しており、実現すれば、イスラエルの連立政権に初めてアラブ政党が加わることになる。
ラピッド議員とベネット議員は記者会見の中で、クネセトを速やかに召集し投票を行うよう求めたが、クネセトの議長を務めるリクード党のヤリヴ・レギン議員は投票を遅らせる可能性があると伝えられている。
ネタニヤフ首相は2009年から首相を務め、昨年のアラブ4カ国との画期的な外交協定を含む多くの実績を残してきたが、2019年に詐欺、背任、賄賂の受領で起訴されて以来、難しいかじ取りを迫られていた。
合同リスト党首のマンスール・アッバース議員は地元メディアのインタビューの中で、「アラブ政党が連立政権のパートナーに加わるのは初めてだ」と述べた。「今回の連立協定には、アラブ社会、そしてイスラエル社会全体に利益をもたらす多くのことが含まれています...」
アッバース議員によると、ラピッド議員とベネット議員は連立交渉の中で、イスラエル南部のベドウィン村の法的承認に関する合意、アラブの町や都市に92億ドル（約1兆円)を投資する経済計画、そしてアラブコミュニティにおける暴力犯罪と戦うための5カ年計画の実行などを約束したという。
ラピッド議員は新聞のコラムニストやテレビの司会者などを経て、2013年に初当選を果たした。この選挙で大躍進したイェシュ・アティッド党は連立政権に加わり、ラピッド議員は財務大臣に就任したが、ネタニヤフ首相との関係悪化に伴い、連立は崩壊した。
イェシュ・アティッド党は世俗的な中流階級の有権者に人気があり、ラピッド議員はネタニヤフ首相と超正統派政党との密接な関係を何度も非難し、汚職事件で裁判にかけられている首相は速やかに辞任しなければならないと主張してきた。
