イスラエル首相が「恩赦」を要請、長期化する汚職裁判受け
ネタニヤフ氏は2019年の起訴以来、収賄、詐欺、背任など複数の容疑で裁判を受けており、現職首相としては異例の法廷対応が続いている。
とイスラエルのネタニヤフ首相(AP通信).jpg)
イスラエルのネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は11月30日、継続中の汚職裁判について、ヘルツォグ(Isaac Herzog)大統領に罰金や刑罰の免除を求めて正式に「恩赦」を要請した。
ネタニヤフ氏は2019年の起訴以来、収賄、詐欺、背任など複数の容疑で裁判を受けており、現職首相としては異例の法廷対応が続いている。
自身は一貫して無罪を主張しており、裁判の継続を「国家分断を深める」と批判。赦免要請にあたり、「頻繁な法廷出廷義務(3度/週)は他の誰にも課されない不当な負担だ」などと訴え、国の安全保障や政治的安定を理由にあげた。
ネタニヤフ側が提出した恩赦の申し立ては、長文の弁護士による書簡と本人名義の書簡という二通から成り、これを受けて大統領府はこのような「前代未聞」の請求を「重大な意味を持つ異例のもの」と位置付け、関係機関による意見聴取後に慎重に検討する姿勢を示した。
伝統的に、イスラエルにおける赦免は有罪判決後に限定されており、前例はほとんどない。
この動きに対して、与党内では支持の声もある。連立を支える閣僚の一部は恩赦を容認する立場を表明しており、法廷対応が政府運営の妨げになっているとの認識を共有している。
方で野党や法曹関係者は強く反発。赦免が有罪判決や謝罪を伴わずに認められれば、法の支配と民主主義の根幹を揺るがす前例となると警告し、許可すべきではないと訴えている。
また、国際的にも注視の声がある。トランプ(Donald Trump)米大統領はネタニヤフ氏への赦免を求める書簡をヘルツォグ氏に宛て送付していたことが報じられており、今回の要請は一部海外勢力の影響も含む政治的決断との見方も出ている。
ネタニヤフ氏は1996年から断続的に政権の中枢を担ってきた。現在の任期は2022年から2026年10月までに予定されている次期総選挙に向けて、政権の安定維持と支持基盤の結集が不可欠とされている。
しかし、恩赦要請は法的、政治的な論争を呼び起こすばかりか、国内世論や司法制度への信頼に、長期的には自身の政権基盤にも深刻な影を落とす可能性があると見られている。
今後の流れとしては、要請を受けた大統領府が司法省および関係当局からの意見を取りまとめ、ヘルツォグ氏が最終判断を下すことになる。しかし、前例がほとんどなく、仮に赦免が認められれば、イスラエルの司法制度や政治倫理の在り方に関する議論を巻き起こすことは確実である。
法務関係者は「裁判を止めるための手段として赦免を求めるのは非常に問題がある」と指摘しており、この国の民主主義の根幹が問われる重大な局面となっている。
