◎議会はヤミナ党のネフタリ・ベネット党首の首相就任を「賛成60ー反対59」で承認した。
6月13日、イスラエル議会(クネセト)は野党イェシュ・アティッド党とヤミナ党を中心とする新連立政権を承認した。これにより、2009年からイスラエルを率いてきたリクード党のベンヤミン・ネタニヤフ首相は野党党首に降格することが決まった。
議会はヤミナ党のネフタリ・ベネット党首の首相就任を「賛成60ー反対59」で承認した。ベネット議員はイェシュ・アティッド党との権力協定により、2023年9月まで首相を務める予定。その後の2年間はイェシュ・アティッド党の中道右派、ヤイール・ラピッド党首が首相を務める。
<新連立政権>
・イェシュ・アティッド党:17議席
・ヤミナ党:7議席
・青と白:8議席
・労働党:7議席
・イスラエル・ベイテヌ:7議席
・新しい希望:6議席
・メレツ党:6議席
・ラーム党:4議席
計62議席
<野党>
・リクード党:30議席
・シャス党:9議席
・トーラー・ユダヤ連合:7議席
・宗教シオニズム:6議席
・合同リスト:6議席
計58議席
極右のネタニヤフ首相は投票後、「私たちは戻ってくる」と誓約した。
アメリカの中道右派、ジョー・バイデン大統領は13日、「ベネット議員と協力することを楽しみにしている」と祝辞を送った。
今回連立政権に参加したアラブ派閥を含む8党はネタニヤフ首相を打倒するために力を合わせたが、政策についてはほとんど合意していない。
専門家は、「新政府はリクード党の政策をおおむね維持したうえで、パレスチナ人との緊張を緩和し、アメリカとの良好な関係を維持しようとする可能性が高い」と述べた。
ネタニヤフ首相は投票で退任が決まると立ち上がり、部屋を出る前にベネット議員に手を振った。その後、野党党首のイスに少し座り、部屋を出た。
汚職裁判にかけられているネタニヤフ首相はリクード党の党首として新政府の政策に激しく反対すると予想されている。新連立政権は1つでも政党が離脱すれば過半数を失うため、特にアラブ派閥ラーム党の機嫌を損ねないように注意しなければならない。
ネタニヤフ首相は1996年から1999年、次に2009年から2021年までの計5期、首相を務めた。
ネタニヤフ首相は2015年の議会選挙で当時の野党党首ベニー・ガンツ議員との権力共有に合意し、連立政権が発足した。しかし、権力共有協定は2018年12月に崩壊した。その後、リクード党は2019年4月、2019年9月、2020年3月、2021年3月の選挙でいずれも第一党を維持したが、連立政権を形成することはできなかった。
ヤミナ党は2021年3月の議会選挙で7議席しか獲得できなかったが、新連立政権を形成したいイェシュ・アティッド党のラピッド議員は数週間の交渉の末、ベネット議員と手を組むことに合意した。両党首は議会が設定した交渉期限の30分前に合意したと伝えられている。
新連立政権にはイデオロギーに大きな違いのある政党が含まれており、その中でもアラブ派閥ラーム党の扱いが最も重要になると考えられている。地元メディアは、女性議員8人が閣僚に任命される見込みと報じた。
一方、専門家は地元メディアのインタビューの中で、「ラーム党と他の政党との間で摩擦が生じる可能性が高い」と指摘した。極右のヤミナ党や新しい希望はユダヤ人の入植を強く支持している。
社会政策でも問題が発生すると予想されている。同性結婚や同性愛者の権利を推進したい政党もあるが、イスラム系のラーム党はこれに強く反対している。さらに一部の政党は現在の宗教的制限を緩和したいと考えているが、極右のヤミナ党はこの考えに強く強く反対している。
ベネット議員は議会の演説の中で、「経済問題やコロナウイルスなど、合意が可能な分野に焦点を当てる」と述べた。「自分のイデオロギーを諦める必要はありません。しかし、すべての夢を実現させるためには時間がかかります。私たちは何ができないかを議論するのではなく、今できることを議論します...」