イスラエル、ヨルダン川西岸で数十カ所の新たな入植地建設を承認
今回の決定について、パレスチナ自治政府は「国際法違反」と強く非難している。
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イスラエル政府がパレスチナ・ヨルダン川西岸地区で新たな入植地の建設を承認したことが明らかとなり、国際社会やパレスチナ側の強い反発を招いている。イスラエルの市民組織「ピース・ナウ」は9日、今回の決定について、「数十カ所に及ぶ大規模なもので、地域情勢にさらなる緊張をもたらす可能性がある」と指摘した。
それによると、イスラエルは34の新たなユダヤ人入植地の建設を承認した。これらは主に山岳地帯など離れた場所に点在する小規模な拠点とされるが、政府が正式発表していない形で閣議決定されたという。
今回の決定について、パレスチナ自治政府は「国際法違反」と強く非難している。国際社会の多くも、ヨルダン川西岸の入植を占領地における違法な活動とみなしており、これまでも国連などが繰り返し是正を求めてきた。実際、同地域にはすでに約50万人のユダヤ人入植者が居住し、約300万人のパレスチナ人との共存が続いている。
今回の決定の背景にはネタニヤフ政権の強硬な入植政策がある。特に極右勢力が影響力を持つ現政権では、入植拡大を通じてパレスチナ国家の実現可能性を弱める狙いがあるとされ、スモトリッチ(Bezalel Smotrich)財務相らが主導的役割を果たしている。
また、入植地拡大は治安状況とも密接に関連している。近年、西岸地区では入植者とパレスチナ人の衝突が増加、暴力事件も頻発している。報道によると、入植者による攻撃でパレスチナ人が死亡する事件も発生し、緊張が一段と高まっている。
ネタニヤフ政権はこの地域を「係争地」と位置付けているが、国際社会の多くは1967年の第三次中東戦争で占領された領土とみなしている。そのため、入植活動は二国家解決を困難にする要因として長年批判されてきた。
今回の承認はこうした流れをさらに加速させるものと受け止められている。入植地の新設だけでなく、既存の非公式な拠点を合法化する動きも進んでおり、事実上の支配拡大、いわゆる「既成事実化」が進行しているとの見方もある。
一方で、イスラエル国内では安全保障や歴史的権利を理由に入植を支持する声も根強い。政府は明確なコメントを避けているものの、政策としての継続性は明らかであり、今後も同様の措置が続くとみられる。
今回の決定は、すでに停滞している中東和平プロセスにさらなる打撃を与える可能性が高い。入植拡大が続けば、パレスチナ国家樹立の地理的連続性が損なわれ、交渉の前提そのものが揺らぐ恐れがあるためだ。国際社会の批判が強まる中で、地域の安定と和平の行方は不透明さを増している。
