◎昨年の選挙で第一党になったムクタダ・アル・サドル師の党と、イランの支援を受けシーア派政党の連合は候補者の指名をめぐって争っている。
2022年3月26日/イラク、首都バグダッドの議会議事堂(Hadi Mizban/AP通信)

イラク議会は26日、大統領の選出に必要な定足数を満たすことができず、5カ月前の連邦議会選挙後に発生した政治危機をさらに悪化させた。

地元メディアによると、議会に入った議員は329人中202人で、大統領の選出に必要な定数の3分の2に満たなかったという。

欠席した議員は主にイランを支持する政党の議員。報道によると、投票は来週30日に持ち越されたとのこと。

昨年の選挙で選出された議員たちは大統領候補の妥協案に合意することができず、首相すら選出できない状態が続いている。

議員らによると、主要政党には現在2つの選択肢が提示されているという。コンセンサスが得られるまで交渉を続けるか、議会を解散して連邦選挙を行うか...

シーア派のアルサイフッド議員はAP通信の取材に対し、「議会が問題を抱えていることは間違いない」と述べた。

2月初旬に行われた1回目の大統領選出投票には58人の議員しか現れなかった。この時は最高裁が候補のひとりであるゼバリ議員の指名を停止したため、第一党のアル・サドル派がボイコットした。

今回の投票には多くの議員が葬儀に使う死者を包む白い布をまとい、「国民と聖職者のために死のう」という意思表示をして議会に入った。

昨年の選挙で第一党になったムクタダ・アル・サドル師の党と、イランの支援を受けシーア派政党の連合は候補者の指名をめぐって争っている。

アル・サドル派の勝利はイランを支持する政党に大きな動揺を与えた。しかし、イランを支持する政党を排除しつつ、クルド人およびスンニ派の同盟者と政権を樹立するというアル・サドル師の目的を達成することは困難であることが判明した。

アル・サドル師の盟友であるクルド民主党はハリド内相を大統領候補に推している。ライバルのクルド人愛国同盟は会期中、欠席が目立った。

2003年の米軍侵攻後に結ばれた協定に基づき、イラクの大統領はクルド人、首相はシーア派、議長はスンニ派が務める。

連邦選挙後に発生したアル=カーズィミー首相暗殺未遂事件も混乱に拍車をかけた。首相は自宅でドローン攻撃を受けたが、けがはなかった。

2021年7月23日/イラク、バグダッドの政府庁舎、ムスタファ・アル=カーズィミー首相(Khalid Mohammed/AP通信)
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