イラク・UAE、7億ドルのデータケーブル敷設へ
このプロジェクトはUAEからトルコまでケーブルを敷設し、イラクを経由して地域のデータインフラを強化し、人工知能(AI)関連の通信需要に対応する狙いがある。
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イラクとアラブ首長国連邦(UAE)のコンソーシアムは16日、7億ドル規模の海底・陸上データケーブル網「ワールドリンク(WorldLink)」を建設する計画を発表した。このプロジェクトはUAEからトルコまでケーブルを敷設し、イラクを経由して地域のデータインフラを強化し、人工知能(AI)関連の通信需要に対応する狙いがある。
ワールドリンクはUAE東部近郊からペルシャ湾のイラク南部バスラまで海底ケーブルを敷設し、そこから陸上ルートで北へトルコ国境まで延伸する構想だ。イラクの企業、クルド系企業、UAEの投資会社など複数企業が共同で進める。建設は民間資金で賄われ、今後4~5年をかけて段階的に実施される計画となっている。
コンソーシアムはデータセンター運営企業や国際通信事業者、AIアプリケーション向けユーザーを主な対象に想定し、世界的に通信トラフィックが増大する中で接続性の向上や遅延の削減を図るとしている。特に現在の東西データルートはスエズ運河などを経由しており、混雑や距離面での制約があると指摘され、ワールドリンクはこうした問題を解消し、地域のネットワーク効率を高める意図があるとしている。
この計画発表はサウジアラビアとシリアが共同で進める別の大規模光ファイバープロジェクト「シルクリンク(SilkLink)」の発表から1週間余り後に行われた。シルクリンクは約10億ドルを投じ、シリアのインフラを再建するとともにアジアと欧州を結ぶデータルートとしての活用を目指している。中東地域では複数国がデータインフラ整備による競争を繰り広げていることがうかがえる。
シリア暫定政権はこの種のインフラが「ルートの多様性と強靱性を高める」と歓迎する声明を出し、地域全体で接続網の拡大が進めば利益になるとの見方もある。これについてワールドリンク側は、高速かつ信頼性の高い接続性を提供する設計で、地域のデータ需要に応えるものだと説明している。
イラクは過去数十年の不安定な状況からの脱却を目指し、国を横断する輸送・通信ルートの整備を進めてきた。2023年には総額約170億ドルの鉄道・道路プロジェクトを打ち出し、南部地域とトルコを結ぶ安定した通行路を構築する取り組みを進めている。こうした背景には隣接地域を結ぶ輸送・通信インフラを強化し、経済的な競争力を高めたいという意図がある。
ワールドリンク計画は膨大なデータを高速でやり取りする需要がAI技術の進展とともに急増する中で、中東を新たなデジタル接続のハブとして位置づける試みの一環とみられる。ネットワークの完成が地域の通信効率や国際的なデータルートの選択肢にどのような影響を与えるかが注目される。
