◎デモ隊はサドル内閣の発足を要求している。
2022年7月27日/イラク、首都バグダッドの議会議事堂内(Getty Images/AFP通信)

イラクの警察当局は27日、シーア派の有力聖職者ムクタダ・サドル(Moqtada al-Sadr)師の支持者数百人がバグダッドの国会議事堂を占領したと報告した。

デモ隊はサドル内閣の発足を要求している。

米国やイスラエルとの関係正常化に強く反対するサドル師の政党は昨年10月の議会選で第一党に躍り出たものの、連立政権の発足に失敗し、政治的行き詰まりを招いた。

警察はデモ隊に放水砲や催涙ガスを見舞ったが、突破を許した。国営イラク通信(INA)によると、議事堂内に議員はひとりもいなかったという。

デモ隊はバグダッドのグリーンゾーン(大使館や国会があるエリア)に突撃し、警察と衝突した。

しかし、AFP通信によると、警察はデモ隊の突入を許したように見えたという。AFPは治安筋の話を引用し、「警察は侵入者を阻止しようとしたが、熱意に押されたように見えた」と報じている。

カディミ(Mustafa al-Kadhemi)首相は27日、国会内で踊り、歌い、議長席で横になる抗議者に帰宅するよう呼びかけた。

イラク議会の派閥争いと政治的膠着はまもなく10か月目に突入する。

サドル師は米国の関与に反対し、有権者の支持を集めた。しかし、野党はサドル師との協力を拒んでいる。

サドル派の議員と支持者たちはイランの支援を受ける対立政党が「サドル派はイスラエルと秘密のつながりを持っている」と主張したことに強く反発し、「イランとつながっているのは野党」と反撃した。

議長席で横になるデモ隊の勇士は、イラクがこれまで経験した危機を思い起こさせるものとなった。

2019年に発生した汚職、失業、公共サービスのあり方に反対する抗議デモは大乱闘に発展し、国際NGOヒューマン・ライツ・ウォッチによると、民間人数百人が治安部隊に殺害されたという。

サドル師の支持者は2016年のデモでも国会に乱入し、踊りを披露した。

国連イラク支援ミッション(UNAMI)は27日、「市民には平和的なデモを行う権利がある」と述べた。

2022年7月27日/イラク、首都バグダッドの議会議事堂前(Adil al-Khazali/AP通信)
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