SHARE:

イラク南部の油田が生産再開、輸出パイプラインから漏油

この油田はロシアの石油大手ルクオイルが75%の操業権益を持つ世界有数の巨大油田で、日量約46万バレルを産出。
2017年4月17日/イラク、南部バスラの油田(ロイター通信)

イラク南部バスラ近郊の油田において、輸出パイプラインの漏油を受けて一時的に生産が停止していたが、現地メディアは8日、同油田の生産が再開されたと報じた。

この油田はロシアの石油大手ルクオイルが75%の操業権益を持つ世界有数の巨大油田で、日量約46万バレルを産出。これはイラク国内総生産量の約9%、世界の原油供給の約0.5%に相当する規模である。

ルクオイルは先月、米英などによる制裁の影響で同油田をめぐり不可抗力を宣言。制裁により現地スタッフへの給与支払いが困難になったことから、イラク政府が地元スタッフの給与を肩代わりして支払う措置を取っていた。

今回の停止は輸出パイプラインの漏油が原因とされ、関係当局は漏れた油の回収やパイプラインの修復作業を実施。油田への戻し入れが進み、数時間以内に全面復旧する見込みとなった。

しかしながら、制裁問題による不透明感は依然として残る。イラク政府はすでに、米国の複数の大手石油会社を対象にこの油田の運営権引き継ぎを呼びかけており、今後の所有構造の変化も視野に入れている。

このように、ルクオイルが運営する世界有数の油田で一時的な供給リスクが生じたものの、パイプラインの復旧とともに生産は速やかに再開された。ただし、制裁の余波や今後の運営権見直しなどによる不透明要因は残っており、国際的な原油市場へのインパクトは今後も注視が必要である。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします