イラク、シリアから移送されたISIS構成員を起訴へ
米軍は21日、クルド人自治区の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」が管理していた拘置所から150人のISIS関係者をイラクへ移送したと発表した。
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イラク政府は22日、シリアから移送されたイスラム国(ISIS)の構成員について、起訴手続きを進めると発表した。これはシリア北東部での治安悪化を受け、拘束体制の安全確保を優先した措置として位置付けられている。
米軍は21日、クルド人自治区の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」が管理していた拘置所から150人のISIS関係者をイラクへ移送したと発表した。今後最大約7000人が順次移送される可能性があるとしている。移送の背景には、SDF支配地域で治安体制が崩壊しつつあることへの懸念があるとされる。
イラク軍の報道官によると、受け入れたISIS構成員にはイラク人だけでなく外国人も含まれ、その多くはISIS内で主要な役割を果たしていたという。移送後は首都バグダッド近郊の警備厳重な拘置施設に収容される見込みだ。
当局は声明で、この起訴と裁判はイラクの憲法と刑法に基づき適正な法的手続きを経て進められると説明した。また「全ての容疑者は国籍やISIS内の地位に関わらず、イラクの司法権のもとにあり、例外なく法的処理がなされる」と強調した。
一方で、構成員の家族らは移送と起訴方針に不安を表明している。欧州在住のある親族は、家族がどこにいるのかさえ不明だった状況から一部は希望を持ったものの、イラクでは死刑が適用される可能性があるとして「非常に恐れている」と語った。
シリアではSDFが長年ISIS戦闘員らを拘束し、一部の施設では1万人近い戦闘員が収容されている。また、ISISに関連する多数の女性や子どもがキャンプに隔離された状態にあるという。今回の移送はこうした拘束体制が不安定化したことを受けた緊急措置とみられる。
背景には、シリア北東部での勢力バランスの急変がある。SDFが軍事的後退を余儀なくされる中、政府軍が地域の主要な拠点を掌握し、SDFが管理していた拘置所やキャンプの治安が大きく揺らいでいる。これにより拘束者の脱走や暴動のリスクが高まったことが移送決定の一因とされる。
イラク政府は対ISIS戦争で2017年に組織を打倒したものの、同国内には依然として細胞組織が残存し、散発的な攻撃を続けている。今回の移送と起訴方針は国内外に残るISISの脅威へ対応するとともに、過激派の再興防止を目指した法的措置でもある。
移送された拘束者の裁判は今後数カ月以内に本格化する見込みで、国際社会や人権団体などからの注目も集まるとみられる。イラク当局は適正な裁判手続きの確保を強調しているが、拘束者の処遇や国際的な司法協力のあり方が今後の焦点となる。
