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イラン議会、「最高指導者」攻撃なら「ジハード令」発布

国営イラン通信(IRNA)によると、同委員会は20日、ハメネイ師を標的とする行為は「イスラム世界全体に対する戦争」として受け止められ、ジハード令の発布とともに世界各地の「イスラムの戦士」が動員されるべきだとの見解を示した。
イランの製油所と国旗(ロイター通信)

イラン国会の安全保障委員会は20日、最高指導者ハメネイ(Ali Khamenei)師へのいかなる攻撃も「ジハード(聖戦)」の宣言につながるとの強い警告を発した。国営イラン通信(IRNA)によると、同委員会は20日、ハメネイ師を標的とする行為は「イスラム世界全体に対する戦争」として受け止められ、ジハード令の発布とともに世界各地の「イスラムの戦士」が動員されるべきだとの見解を示した。

この声明は国内で続く政治的・社会的緊張と、国外との対立関係が深刻化する中で出されたものである。昨年末に始まった物価高騰への抗議デモが全国に拡大し、治安当局による弾圧が強まっている。トランプ(Donald Trump)米大統領はイラン当局による弾圧とイスラム体制への非難を繰り返してきた。こうした発言がエスカレートしたことを背景に、イラン側の警戒感が一段と高まっている。

イランでは2025年12月に発生した抗議の広がりを受け、国内の治安機関が大規模な鎮圧に乗り出し、数千人が死亡したとの報告もある。人権団体は多数の逮捕や死傷者を確認しており、国連人権理事会が緊急セッションを開催するなど、国際社会の関心と批判が強まっている。こうした状況の中、イラン政府は内外の圧力に対抗する姿勢を強化している。

最高指導者への攻撃が「イスラム世界全体への宣戦布告」に相当するとする国会委員会の主張は、地域的な緊張を一段と高める可能性がある。声明では、攻撃が実際に発生した場合、イスラム教の学者が正式なジハード令を発し、世界中のイスラム教徒を「防衛行動」に呼びかける必要があるとした。この発言は宗教的・政治的な非常手段を示唆するものであり、中東情勢の不安定化を懸念する国際社会の警戒感が増している。

イラン政府内では攻撃を想定した対応だけでなく、実際の外交・軍事的反応についても調整が進んでいる。国会議長や軍幹部は外国勢力による介入があれば厳しい報復措置を取るとの見解を繰り返し、特に米国やイスラエルに対する警戒を強めているとの見方がある。これに対して欧州諸国はイラン側に対話と外交的措置を求める声を強めており、緊張緩和を訴えている。

一方で、イラン国内外の専門家は、最高指導者に対する直接攻撃が実行される可能性は低いと見ているものの、今回の発言は象徴的・政治的な意図が強いとの分析を示している。イスラム革命後の体制を維持し、国内の反体制運動と国外の圧力に対応する一環として、強硬な言辞を用いた国会委員会の声明が出されたとみられる。

このように、イラン国会の「ジハード」警告は、最高指導者の安全保障と国家主権をめぐる緊張が高まる中で発せられたものであり、地域及び国際情勢に重大な影響を及ぼす可能性がある。今後の展開を巡っては、外交的な動向とともに、各国の反応が注目される。

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