イラン暴動、ネット遮断で国内企業に打撃、政府への不満噴出
政府は反政府デモの拡大を受け、武力による弾圧と並行して全国的なネット遮断を実施したが、これが長期化する中で商取引や通信が著しく阻害され、企業から強い不満が噴出している。
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イラン国内で1月8日から続くインターネット遮断が、既に困窮していた企業活動に新たな打撃を与えている。政府は反政府デモの拡大を受け、武力による弾圧と並行して全国的なネット遮断を実施したが、これが長期化する中で商取引や通信が著しく阻害され、企業から強い不満が噴出している。
当局はグローバルインターネットへの接続を遮断したまま、国内向けの限定的接続のみを許可している。国内ネットワークでは公的サイトや学校のサイトにはアクセスできるものの、国際的なメールや取引プラットフォームへのアクセスはほぼ不可能であり、多くの企業が日々の業務に支障をきたしている。こうした状況は、国内のデジタル経済に従事する数百万人に影響を及ぼしているという。
政府内外からも批判が出ている。あるビジネス団体代表は、限定された接続は「メールを数通確認する程度」に過ぎず、正常な商取引には全く不十分だと指摘した。別の経済関係者も迅速に国際的な通信と取引を回復する必要があると訴え、貿易と投資の継続に不可欠なインターネット回復を強く求めている。
インターネット遮断の背景には、昨年末から始まった大規模な反政府抗議活動がある。このデモは1979年のイスラム革命以来最も激しいものとなり、治安部隊による強硬な弾圧で多数の死傷者が出たと報告されている。このため当局は情報流出とデモ組織化の防止を理由にネット遮断を続けてきたが、実際には経済活動を著しく停滞させているとの批判が強まっている。
遮断による経済的損失は甚大で、国内外のネット分析組織は1日あたり数千万から数億ドル規模の損失が出ていると試算している。また、オンライン広告、市場情報、旅行関連サービスなど、デジタル経済を支える多くの分野で収益機会が消滅したとの指摘もある。こうした損失は近年の通貨暴落やインフレなど既存の経済問題をさらに悪化させる要因になっているとの見方が出ている。
一部の企業や商人はメール送受信など限定的な業務のために特定の施設へ出向かなければならない状況にも置かれている。イラン・中国商工会議所の関係者によると、商取引のために商工会議所等で数十分間だけアクセスを許可されるケースもあるものの、個々の事業者の業務にはほとんど役に立っていないという。
政治面でも分裂が見られ、政府内には経済への影響を懸念して接続回復を求める声もある一方、安全保障を重視して遮断継続を支持する見解も存在する。遮断を支持する議員はインターネットが「外国勢力によるコントロールの道具」との認識を示すなど、強硬な意見もある。
抗議は幾分落ち着きを見せ始めたものの、デジタル孤立の長期化が企業の経営環境や消費者の信頼に与える影響は深刻である。経済界からはネット遮断の解除と国際社会とのデジタル接続の早期再開が求められているが、政府の方針が転換されるかどうかは不透明なままである。
