▽イラン政府は31日、イラン核合意をめぐる交渉の仲介を務める駐スイス大使にトランプ氏の脅迫に関する書簡を手渡した。
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イランの最高指導者ハメネイ(Ali Khamenei)師は3月31日、トランプ(Donald Trump)米大統領が発した威嚇について、「米国がイランを攻撃すれば、反撃する」と警告した。
トランプ氏は30日、3月初旬にイラン指導部に送った書簡に概説された協議の提案を受け入れなければイランを空爆すると改めて脅し、イラン指導部に2カ月の猶予を与えた。
国営イラン通信(IRNA)によると、ハメネイ師は首都テヘランでこの発言に言及。「空爆するという脅しに従えば、米国は大打撃を受けることになる」と語ったという。
イラン政府は31日、イラン核合意をめぐる交渉の仲介を務める駐スイス大使にトランプ氏の脅迫に関する書簡を手渡した。
IRNAによると、政府は書簡の中で、「イランはいかなる脅威に対しても、断固として即座に対応する」と強調したという。
ハメネイ師も演説で、「米国とイスラエルからの敵意は常に存在する。彼らは我々を攻撃すると脅しているが、我々はその可能性は低いと考えている。しかし、もし彼らが悪さをすれば、必ず強い反撃を受けるだろう」と語った。
またハメネイ師は、「もし彼らが過去のように国内で反乱を起こそうと企てているのであれば、イラン国民自身が彼らに対処するだろう」と付け加えた。
第1次トランプ政権は2018年、イラン核合意から一方的に離脱し、イランに厳しい経済制裁を科した。
イラン核合意は3.67%以上のウラン濃縮を禁止している。イランは24年末の時点で60%の高濃縮ウランを200キログラム近く保有している。
<ウラン(U-235)の濃縮度>
▽0.7%:標準
▽2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
▽3.67%以下:イラン核合意の規定値
▽20%以上:高濃縮ウラン
▽90%以上:核兵器用
イランは長い間、核兵器開発を否定してきた。しかし、イランはウラン濃縮を劇的に加速させ、兵器級とされる90%程度に近い60%の濃縮を続けている。
トランプ氏は1期目を通じて実践してきたイランに対する厳しい経済制裁を再開する大統領令に署名。イランの主要収入源である石油産業を標的とする制裁措置が発動した。
米エネルギー省の推計によると、イランの23年の石油輸出額は530億ドル、24年は540億ドルとなっている。24年中の生産量は18年以来最高水準となった。
トランプ氏は最初の任期中、厳しい制裁を科し、イランの石油輸出をほぼゼロに追いやった。イランはバイデン政権下で制裁逃れに成功、輸出量は増加した。トランプ氏はこれを再びゼロにするつもりでいる。
イランのペゼシュキアン(Masoud Pezeshkian)大統領は30日、トランプ政権との核合意に関する直接交渉を拒否すると表明した。