▽イランはウラン濃縮を加速させ、兵器級とされる90%に近い60%の濃縮を続けている。
とイランの最高指導者ハメネイ師(Getty-Images).jpg)
オマーンの首都マスカットで11日、イランと米国による4回目の核協議が行われた。
現地メディアによると、イランのアラグチ(Abbas Araghchi)外相とトランプ政権のウィトコフ(Steve Witkoff)中東担当特使は仲介者を通じて間接協議を行ったという。
国営イラン通信(IRNA)は協議終了後、アラグチ氏の発言を引用し、「今回の協議はこれまでの3回に比べ、より真剣で、より率直なものだった」と報じた。
またアラグチ氏は「我々は今、互いをよりよく理解し、さらなる前進を望んでいる。イランはウラン濃縮を続けなければならないが、その範囲とレベルは変わるかもしれない」と述べた。
トランプ(Donald Trump)米大統領は今週13~16日、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)を訪問する予定である。
5月3日にイタリア・ローマで予定されていた協議はオマーンの要請で延期された。
第1次トランプ政権は2018年、イラン核合意から一方的に離脱し、イランに厳しい経済制裁を科した。
イラン核合意は3.67%以上のウラン濃縮を禁止している。イランは24年末の時点で60%の高濃縮ウランを200キログラム近く保有している。
<ウラン(U-235)の濃縮度>
▽0.7%:標準
▽2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
▽3.67%以下:イラン核合意の規定値
▽20%以上:高濃縮ウラン
▽90%以上:核兵器用
イランは長い間、核兵器開発を否定してきた。しかし、イランはウラン濃縮を加速させ、兵器級とされる90%に近い60%の濃縮を続けている。
トランプ氏は1期目を通じて実践してきたイランに対する厳しい経済制裁を再開する大統領令に署名。イランの主要収入源である石油産業を標的とする制裁措置が発動した。
イランは平和利用であることを理由にトランプ政権の要求を拒否し、制裁を解除するよう求めている。
トランプ氏は最初の任期中、厳しい制裁を科し、イランの石油輸出をほぼゼロに追いやった。イランはバイデン政権下で制裁逃れに成功、輸出量は増加した。トランプ氏はこれを再びゼロにするつもりでいる。
AP通信はトランプ政権の高官の話しとして、「11日のオマーンにおける直接・間接協議は3時間以上に及んだ」と報じた。第5回協議の日程は明らかになっていない。
オマーン外務省はX(旧ツイッター)への投稿で、「今回の協議には有用で独創的なアイデアが含まれている」と述べ、「次の協議は調整中である」とした。
ウィトコフは9日、保守系メディアのインタビューで、「イランが濃縮プログラムを維持することを許さない。それが我々のレッドラインだ。濃縮禁止、そして、3つの核関連施設を解体しなければならない」と述べていた。
アラグチ氏はこの発言後、「イランは核の権利を決して放棄せず、いかなる脅迫にも屈しない」と強調した。