◎多くの専門家がイランはすでに90%超の高濃縮ウランを生産できる能力を持っていると指摘している。
2022年2月11日/イラン、首都テヘランで開催された1979年の革命を祝うイベント、星条旗を燃やす人々(Getty Images)

イラン政府は19日、同国の原子力機関が84%の高濃縮ウランを生産したという西側の報道を否定した。

2018年に破綻したイラン核合意は3.67%以上のウラン濃縮を禁止しているが、イランは60%の高濃縮ウランを生産し続けている。

<ウラン(U-235)の濃縮度>
▽0.7%:標準
▽2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
▽3.67%以下:イラン核合意の規定値
▽20%以上:高濃縮ウラン
▽90%以上:核兵器用

米金融情報サービス大手ブルームバーグは19日、国際原子力機関(IAEA)の検査官がイラン原子力庁のウラン濃縮が84%まで高まっていることを確認し、それが意図的なものかどうかを確認しようとしていると報じた。

多くの専門家がイランはすでに90%超の高濃縮ウランを生産できる能力を持っていると指摘している。

イラン政府は60%の高濃色ウランを生産していることは認める一方、兵器ではなく平和利用するためのものと主張している。

イランの宿敵イスラエルはこの主張を「大嘘」と呼び、米国にイラン核合意再開に向けた交渉を破棄するよう求めている。

イラン原子力庁の報道官は19日にツイッターを更新し、ブルームバーグの報道を否定した。「我が国はウラン濃縮に関する報道を承知しています。指導部とIAEAのグロッシ(Rafael Mariano Grossi)事務局長は最近の検証活動の結果について議論しており、指導部は適宜、IAEAに報告する予定です」

国営イラン通信(IRNA)も同報道官の声明を引用し、「IAEA検査官は60%超のウランを確認したが、それは以前にもあったことで、意図したものではなく、異常も確認されなかった」と報じた。

またIRNAは、「60%以上のウラン粒子が存在しても、60%以上の高濃縮ウランを生産したということではない」とした。「これは遠心分離機への供給が一時的に減少した結果、発生したものであり、イラン・イスラム共和国は今のところ60%以上のウランを保有していません...」

原子力庁の報道官は「この問題が米国のメディアにリークされたことの方が問題だ」と指摘した。「米国とイスラエルはイランを誹謗中傷し、事実を捻じ曲げたいようです」

また報道官は以前にも機密情報が西側のメディアにリークされたことについて、「米国とイスラエルはイランに圧力をかけるために機密情報を売買し、攻撃のツールとして利用している」と非難した。

2020年1月8日/イラン、首都テヘランの南に位置するナタンツ原子力施設(MaxarTechnologies)
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