イラン、核協議で米側に対案提示へ、難航必須

イランと米国の代表団は先月、オマーン仲介のもと、5回目の間接協議を行った。
トランプ米大統領(左)とイランの最高指導者ハメネイ師(Getty Images)

イラン外務省は9日、核合意に関する米国との協議について、近日中にオマーン経由で米側に案を示すと明らかにした。

同省の報道官は声明で、国際社会に対し、米国の同盟国であり宿敵イスラエルに核軍縮を強制するよう呼びかけた。

イスラエルは核弾頭(地上発射型ミサイル)を80~100発保有していると推定されるが、その保有を認めたことは一度もない。

イランはイスラエルが米国との核協議を妨害しようとしていると主張してきた。

イランと米国の代表団は先月、オマーン仲介のもと、5回目の間接協議を行った。

両国はそれぞれの提案を持ち帰り、検討後、次回協議を行う予定としている。

米国はイランに核開発を放棄するよう求めている。

第1次トランプ政権は2018年、イラン核合意から一方的に離脱し、イランに厳しい経済制裁を科した。

イラン核合意は3.67%以上のウラン濃縮を禁止している。イランは5月17日時点で60%の濃縮ウランを408.6キログラム保有している。

<ウラン(U-235)の濃縮度>
▽0.7%:標準
▽2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
▽3.67%以下:イラン核合意の規定値
▽20%以上:高濃縮ウラン
▽90%以上:核兵器用

イランは長い間、核兵器開発を否定してきた。しかし、イランはウラン濃縮を加速させ、兵器級とされる90%に近い60%の濃縮を続けている。

トランプ(Donald Trump)大統領は1期目を通じて実践してきたイランに対する厳しい経済制裁を再開する大統領令に署名。イランの主要収入源である石油産業を標的とする制裁措置が発動した。

イランは平和利用であることを理由にトランプ政権の要求を拒否し、制裁を解除するよう求めている。

トランプ氏は最初の任期中、厳しい制裁を科し、イランの石油輸出をほぼゼロに追いやった。イランはバイデン政権下で制裁逃れに成功、輸出量は増加した。トランプ氏はこれを再びゼロにするつもりでいる。

イラン外務省の報道官は声明の中で、「米国の提案は受け入れられないものだ」と強調。「代表団はオマーン経由で米側に私たちの提案を提示する。この提案は合理的かつ論理的でバランスの取れたものだ」と述べた。

また報道官は「イランが恩恵を受け、他国との銀行取引や貿易関係が正常に戻ることを確保しなければならない」と述べ、米の制裁解除が条件であると強く示唆した。

さらに「第6回協議の日程は決まっていない」とした。

イランの最高指導者ハメネイ(Ali Khamenei)師は先週、「米国の提案はイランの利益に反する」と一蹴し、ウラン濃縮を継続すると誓った。

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