イラン、欧州諸国と核協議開催へ、トルコが仲介
この協議は25日にイスタンブールで行われる予定。イランとイスラエルが先月衝突して以来、核交渉が行われるのは初めてである。
.jpg)
イラン政府は21日、今週中に欧州諸国と同国の核開発プログラムに関する協議を再開すると発表した。トルコが仲介する予定だ。
トルコ当局によると、この協議は25日にイスタンブールで行われる予定。イランとイスラエルが先月衝突して以来、核交渉が行われるのは初めてである。
同様の会議は5月にイスタンブールで開催された。
この協議にはイラン、イギリス、フランス、ドイツの当局者、そしてEUのカラス(Kaja Kallas)外交安全保障上級代表が出席する予定である。
イラン外務省の報道官は記者会見で、「協議の議題は制裁の解除とイランの平和的な核開発計画に関する問題である」と語った。
また報道官は副大臣クラスが協議に出席するとした。
イランのアラグチ(Abbas Araghchi)外相は20日、国連事務総長に宛てた書簡で、欧州3カ国(英仏独)には核合意を機能させる法的、政治的、道徳的立場が欠けていると指摘。この3カ国が核合意における約束を守っていないと主張した。
イラン指導部はイスラエルとの戦争以来、国際原子力機関(IAEA)の「二重基準」を繰り返し批判してきた。
イスラエル軍は先月、イランの核施設と軍事施設に対する攻撃を開始。12日間の戦争で数百カ所を空爆した。
イスラエル軍は先制攻撃に踏み切った理由について、▽イランが核兵器保有を推進していること▽数千発の弾道ミサイルを保持していること▽中東各地の代理勢力への武器と資金の提供を挙げ、これらの脅威を取り除くことと説明している。
米軍はイスラエルが攻撃を開始してから10日後、「ミッドナイトハンマー(真夜中の鉄槌)」と名付けた攻撃作戦を決行。イランの3つの核施設(ナタンツ、フォルドゥ、イスファハン)に対し、7機のステルス戦略爆撃機B2などを投入し、地中貫通型爆弾(バンカーバスター)GBU57をあわせて14発投下した。
戦争終結後、イラン政府はIAEAとの協力を停止する法律を施行。IAEAはその後、イランに残っていた査察官を退避させた。
イラン政府はIAEAの監督下にある非核保有国のイランが核保有国の米国とイスラエルの攻撃を受けたこと、そして、核不拡散条約(NPT)に加盟せず、核兵器を保有するイスラエルが核施設を攻撃したことを国際法違反と糾弾している。
NPTで核保有を認められた5カ国(米露中英仏)以外に核兵器を保有する国のひとつがイスラエルであり、IAEAを含む国際社会はそれを黙認してきた。
イスラエルは現在、核弾頭を約90発を保有していると推定されるが、その保有を認めたことは一度もない。
イランは5月時点で60%の濃縮ウランを408.6キログラム保有。IAEAによると、これは核弾頭9発分に相当する。
<ウラン(U-235)の濃縮度>
▽0.7%:標準
▽2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
▽3.67%以下:イラン核合意の規定値
▽20%以上:高濃縮ウラン
▽90%以上:核兵器用
第1次トランプ政権は2018年、イラン核合意から一方的に離脱し、イランに厳しい経済制裁を科した。