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イラン最高指導者「米国との交渉、利益にならない」

2025年6月に勃発したイランとイスラエルの「12日間戦争」は、両国間の緊張を一気に高め、米国との関係にも深刻な影響を及ぼした。
イランの最高指導者ハメネイ師(ロイター通信)

イランの最高指導者ハメネイ(Ali Khamenei)師は23日、米国との交渉はイランの利益にならず、行き詰まると表明した。

ハメネイ師は国民向けの演説で、ウラン濃縮に関してイランが圧力に屈することはないと強調。核兵器を必要とせず、製造する意図もないというイランの長年の立場を改めて強調した。

2025年6月に勃発したイランとイスラエルの「12日間戦争」は、両国間の緊張を一気に高め、米国との関係にも深刻な影響を及ぼした。イスラエルの先制攻撃に対し、イランは大規模な報復を行い、双方で数百人の死傷者が出た。米国はイスラエルを支持し、空爆に対する支援や情報提供を行ったとされる。

戦争後、ハメネイ師は米国との直接交渉を「無駄な道」と断じ、核開発の権利を強調した。また、イランは国際原子力機関(IAEA)との協力を制限し、ウラン濃縮活動を継続している。これにより、米国と欧州諸国は2015年の核合意に基づく「スナップバック制裁」を発動し、イランの核開発を制限しようと試みている。

米国はイランに対する圧力を強化しており、国連総会の開催中にはイラン外交官に対し、コストコなどの高級品購入を制限する措置を講じた。これは、イランのエリート層が米国の消費財を享受する一方で、一般市民が経済的困難に直面しているという批判に応える形での対応である。

イランはロシアや中国との関係強化を進め、米国の圧力に対抗しようとしている。また、イスラエルの行動を地域の安定を脅かすものと位置付け、国際社会に対してその危険性を訴えている。これにより、イランは米国との対立を深める一方で、他の大国との連携を模索している。

イランと米国の関係は核開発問題を中心にさらに緊張を高めており、戦争後の復興や外交交渉の進展は見通せない状況である。米国はイランの核開発を抑制するための圧力を維持しつつ、地域の安定を図るための外交的努力が求められる。

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