イラン軍、イスラエルに向けミサイル発射、全土で空襲警報

イスラエルのチャンネル12ニュースはミサイルの破片が地上に降り注ぎ、少なくとも2人が重傷、8人が中程度、34人が軽傷を負ったと報じた。
2025年6月14日/イスラエル、テルアビブ、イランが発射したとみられるミサイル(AP通信)

イラン軍が13日夜、イスラエルによる核施設や軍事施設に対する空爆の報復として、約100発のミサイルをイスラエルに向けて発射した。

現地メディアによると、テルアビブとエルサレムで爆発音が確認されたという。

イスラエル全土で空襲警報が鳴り響く中、当局は市民に避難を呼びかけた。

テルアビブではイランが発射したとみられるミサイルと防空部隊のミサイルが確認された。

イスラエル軍は12日夜、イランの核施設と軍事施設に対する攻撃を開始。戦闘機で100か所以上を攻撃した。

イラン原子力庁はウラン濃縮施設のある中部ナタンツの核施設が被害を受けたことを確認した。

イラン当局によると、フォルドゥとイスファハンの核関連施設は攻撃を受けていない。

イスラエル軍は14日未明、イランが100発未満のミサイルを発射し、そのほとんどが迎撃されたか目標に到達しなかったと述べた。

AP通信は米当局者の話しとして、「米軍がイランのミサイルを撃墜するのを支援した」と報じている。

イスラエルのチャンネル12ニュースはミサイルの破片が地上に降り注ぎ、少なくとも2人が重傷、8人が中程度、34人が軽傷を負ったと報じた。

イランの攻撃によりテルアビブとその周辺で複数の建物が被害を受けた。

イランのナタンツ核施設の被害の程度や、どの部分が攻撃を受けたかは明らかになっていない。

同施設の地下には広大なウラン濃縮プラントがある。専門家は米国製の地中貫通型爆弾(バンカーバスター)が使われた可能性があると指摘している。

イランは5月時点で60%の濃縮ウランを408.6キログラム保有している。

<ウラン(U-235)の濃縮度>
▽0.7%:標準
▽2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
▽3.67%以下:イラン核合意の規定値
▽20%以上:高濃縮ウラン
▽90%以上:核兵器用

これは兵器級に迫る水準だが、ナタンツの生産量は軍事専門家が破壊困難と指摘する山中に造られたフォルドゥより少ない。

イスラエル軍は先制攻撃に踏み切った理由について、▽イランが核兵器保有を推進していること▽数千発の弾道ミサイルを保持していること▽中東各地の代理勢力への武器と資金の提供を挙げ、これらの脅威を取り除くことと説明している。

国営イラン通信(IRNA)はバゲリ(Mohammad Bagheri)軍参謀総長や革命防衛隊(IRGC)のサラミ(Hossein Salami)司令官ら複数の高官ほか、元原子力庁長官や著名な核科学者3人も死亡したと報じた。

IRNAは13日遅く、国軍がイスラエルに向けて数百発の弾道ミサイルを発射したと報じた。

イランの最高指導者ハメネイ(Ali Khamenei)師は13日、イスラエルが戦争を初めてと非難し、報復を宣言した。

イランの国連大使はイスラエル軍の13日の攻撃で78人が死亡、320人以上が負傷したと報告している。

イスラエルのネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相はテレビ演説で、「イランの核の脅威を取り除くために必要なだけ攻撃する。(攻撃は)何日も続くだろう」と述べた。

イスラエル政府は諜報機関がイランが数日以内に複数の核弾頭を生産するのに十分な濃縮ウランを保有していることを確認したとしている。

イランは長い間、核兵器開発を否定してきた。しかし、イランはウラン濃縮を加速させ、兵器級とされる90%に近い60%の濃縮を続けている。

トランプ(Donald Trump)米大統領は1期目を通じて実践してきたイランに対する厳しい経済制裁を再開する大統領令に署名。イランの主要収入源である石油産業を標的とする制裁措置が発動した。

イランは平和利用であることを理由にトランプ政権の要求を拒否し、制裁を解除するよう求めている。

トランプ氏は最初の任期中、厳しい制裁を科し、イランの石油輸出をほぼゼロに追いやった。イランはバイデン政権下で制裁逃れに成功、輸出量は増加した。トランプ氏はこれを再びゼロにするつもりでいる。

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