◎首都テヘランでクルド人女性のアミニさんがヒジャブを適切に着用しなかったという理由で道徳警察に殴り殺された事件は全国規模のデモを引き起こし、一部地域では暴動に発展している。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは11日、イラン西部のクルド人居住区で抗議デモに対する取り締まりが強化されていると警告した。
アムネスティによると、北西部の都市サナンダジの治安部隊はデモ隊を無差別に銃撃した可能性があるという。
クルド人の活動家や団体は治安部隊が市内で発砲する様子をSNSに多数投稿している。
アムネスティによると、クルド人居住区における9日以降の取り締まりでデモ参加者少なくとも5人が殺害され、400人以上が負傷した。
政府は現地のインターネットと電話網を遮断しており、死者数はもっと多いと指摘する専門家もいる。
首都テヘランでクルド人女性のアミニ(Mahsa Amini)さんがヒジャブを適切に着用しなかったという理由で道徳警察に殴り殺された事件は全国規模のデモを引き起こし、一部地域では暴動に発展している。
アミニさんは先月13日、テヘランを訪問中にヒジャブを適切に着用しなかったという理由で道徳警察に殴られ、パトカーに頭を叩きつけられ、車内で暴行を受け、昏睡状態に陥り、3日後に死亡した。
この事件に抗議するデモはイランから世界に拡散し、イラン指導部の責任を問う声が高まっている。
指導部は現在、1979年のイスラム革命のような事態に発展しかねない騒乱に直面している。
全権力を手中に収める最高指導者のハメネイ(Ali Khamenei)師は米国とイスラエルが暴動に関与していると主張している。
アムネスティは11日、西部クルディスタン州、ケルマンシャー州、西アゼルバイジャン州の10地域で過去3日間抗議デモが行われ、サナンダジが弾圧の震源地になったと報告した。
The intense conflict between protestors and repressive forces in Baharestan street of Sanandaj.
— Hengaw Organization for Human Rights (@Hengaw_English) October 10, 2022
Monday, October 10, 2022#MahaaAmini#Kurdistan #سنندج pic.twitter.com/7vwidMEcOJ
Last night in #Sanadaj security forces stormed into neighbourhoods. sounds of gunfire could be heard. Many injured and arrested. In another part of the city revolutionary guards mistakenly fired on their own militias, at least one killed and more injured. #Mahsa_Amini pic.twitter.com/9HEVJbpoTG
— @jiyargol (@jiyargol) October 11, 2022
ノルウェーに拠点を置く人権団体イラン・ヒューマン・ライツ(IHR)によると、サナンダジで10日夜にデモ隊と治安部隊の衝突を確認したという。IHRはこの様子を撮影し、ツイッターで共有した。
サナンダジやその他の地域では多くの女子学生がハメネイ師に抗議し、映像や写真をSNSで拡散している。
ツイッターで共有されたある動画には、十数人の少女たちが道路の真ん中でヒジャブ(髪を隠すイスラム教のスカーフ)を振り回しながら「女性・生命・自由」と叫ぶ姿が写っている。
別の動画では数百人の群衆が「独裁者に死を」と叫んでいた。
国営イラン通信(IRNA)によると、11日にサナンダジを視察したバヒディ(Ahmad Vahidi)内相は「革命テロリストグループが暴動を起こした」と主張し、治安部隊に取り締まりを維持するよう命じたという。
IHRによると、9月17日の抗議デモ開始以来、治安部隊の攻撃で殺害された市民は子供19人を含む少なくとも185人に達し、数千人が負傷したという。
しかし、政府はデモ参加者の殺害を否定し、イラン革命防衛隊(IRGC)の兵士を含む公務員20人以上が死亡したと報告している。
一部地域では警察と反政府勢力が衝突したと伝えられているが、詳細は明らかにされていない。
AFP通信によると、司法当局は11日、故ラフサンジャニ(Ali Akbar Hashemi Rafsanjani)元大統領の娘であるハシェミ(Faezeh Hashem)氏を公共秩序の破壊とプロパガンダを発信した罪で起訴したという。
一方、国内の石油・ガス産業で働く労働者は11日、抗議者への連帯を示すデモを開始した。
イランで最大の生産量を誇る南西部フゼスタン州アバダンの製油所の外で従業員とみられる人々がデモを行う様子がSNSで共有されている。
米ウォールストリートジャーナル紙はこの製油所を代表する委員会の声明を引用し、「これは始まりであり、我々は全国の人々と共に毎日抗議を続ける」と報じた。
しかし、IRNAはストライキが全国に拡大しつつあるという西側の報道を否定している。
南部ブシェールの石油化学コンビナートの従業員が10日に行った抗議デモもSNSで共有された。従業員たちは「恐れるな、我々は共に立つ!」と叫び、指導部を糾弾した。