イラン、国連原子力機関(IAEA)との協力停止、大統領が指示

イランはこれまで、欧米との交渉を有利に進めるため、 IAEAの査察を制限してきた。
2025年7月1日/イラン、首都テヘラン、ペゼシュキアン大統領(AP通信)

イランのペゼシュキアン(Masoud Pezeshkian)大統領が国際原子力機関(IAEA)との協力を停止するよう関係機関に指示した。国営イラン通信が2日に(IRNA)が報じた。

これにより、IAEAの調査官は同国の核施設を査察できなくなる見通しだ。

IRNAはペゼシュキアン氏の命令のスケジュールや詳細について言及しなかった。

アラグチ(Abbas Araghchi)外相は米CBSニュースのインタビューで、米国との交渉を継続する用意があることを示唆していた。

イランはこれまで、欧米との交渉を有利に進めるため、 IAEAの査察を制限してきた。

12日間にわたるイスラエルとの戦争によって中断された米国との交渉が再開する見通しは立っていない。

議会はIAEAとの協力を停止する法案を賛成多数で可決、ペゼシュキアン氏がこれに署名した。

護憲評議会も先週、この法案を承認。ペゼシュキアン氏が議長を務める国家安全保障会議の支持も得ているとみられる。

IRNAは法案の一部を引用し、「政府は核兵器不拡散条約(NPT)とそれに関連する協定に基づくIAEAとの全ての協力を直ちに停止するよう命じている」と報じた。

この決定はイランと米国の核協議に影響を与える可能性がある。

第1次トランプ政権は2018年、イラン核合意から一方的に離脱し、イランに厳しい経済制裁を科した。

イラン核合意は3.67%以上のウラン濃縮を禁止している。

イランは5月時点で60%の濃縮ウランを408.6キログラム保有。国際原子力機関(IAEA)によると、これは核弾頭9発分に相当する。

<ウラン(U-235)の濃縮度>
▽0.7%:標準
▽2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
▽3.67%以下:イラン核合意の規定値
▽20%以上:高濃縮ウラン
▽90%以上:核兵器用

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