◎米国は2018年にイラン核合意から撤退し、イランの外国資産を凍結したうえで、イランの原油、天然ガス、石油化学製品などに対する投資を禁止した。
イラン政府は9日、ギリシャ沖で押収された石油タンカーが返還されることを望むと表明した。
ギリシャ当局は今年4月、対イラン制裁を理由に領海内を航行していたイラン隻の石油タンカーを押収した。
しかし、ギリシャの裁判所が押収を認めた当初の決定を覆したため、米国は先月、このタンカーのイラン産原油を別のタンカーに移した。
ギリシャ裁の決定見直し判決はまだ公表されていない。
イランは米国の措置に強く反発し、先月末、公海を航行していたギリシャ籍の石油タンカー2隻を押収した。
ギリシャの在イラン大使は9日、「ギリシャの裁判所はイラン産原油の押収に関する最初の決定を覆した」とツイートした。「タンカーの積荷はすべて返還されるでしょう」
ギリシャのメディアはイランの石油タンカーが制裁を無視して10万トン以上の原油を輸出しようとしていたと報じている。
米国は2018年にイラン核合意から撤退し、イランの外国資産を凍結したうえで、イランの原油、天然ガス、石油化学製品などに対する投資を禁止した。しかし、イランは制裁発動後も中国などの同盟国に原油を輸出し続けている。
イランのライシ(Ebrahim Raisi)大統領は9日、国営メディアのインタビューの中で、「イランはいじめっ子に立ち向かう姿勢を示した」と語った。
「米国はいじめっ子のように私たちの貨物を盗みました。私たちはヒットエンドランの時代は終わったことを証明したのです。やったもん勝ちは許されません。我々は彼らの船2隻を押収しました。米国は何度イラン国民を試すつもりですか?」
ギリシャ政府の報道官は「今回の司法判断がギリシャ籍タンカー2隻の解放につながる可能性はあるか?」という質問に対し、「ギリシャの司法は完全に独立している」と強調した。
「まず、私たちは4月の押収とイラン政府による5月末の海賊行為を結び付けていません。ギリシャは制裁に基づき、ギリシャの領海内を航行していたタンカーを押収しました。しかし、イランは違います。第二に、ギリシャの司法は完全に独立しています。私たちはイランのタンカーを返還すれば我々のタンカーが返ってくるとは思っていません」
イランは2019年にイギリス領海内で石油タンカーが押収された2週間後、シリア行きの英籍タンカーを押収した。両船は協議の末、解放された。