◎米国とイランの交渉を仲介するEU当局者は記者団に、「ある程度の進展は見られたが、問題を解決するためにはさらなる協議と調整が必要」と述べた。
2021年9月20日/オーストリア、首都ウィーン、イランと国際原子力機関の交渉責任者(Lisa Leutner/AP通信)

12月3日、オーストリアの現地メディアによると、11月29日に再開したイラン核合意の第7回交渉は終了し、関係者は来週再びウィーンに集まる予定だという。

米国とイランの交渉を仲介するEU当局者は記者団に、「ある程度の進展は見られたが、問題を解決するためにはさらなる協議と調整が必要」と述べた。

EU外交官のエンリケ・モラ氏は、「今週の交渉で課題を特定した」と述べ、来週の交渉である程度の道筋を示すと示唆した。「来週、私たちは再びウィーンに集まります...」

またモラ外交官は、交渉時間は無制限ではないと強調し、「緊張感を持って問題の解決に向けた取り組みを進めていく必要がある」と述べた。

米国のドナルド・トランプ前大統領は2018年に合意から撤退し、イランに厳しい経済制裁を科した。これにより、米国はイランの外国資産を凍結し、イランの原油、天然ガス、石油化学製品に対する投資を禁止した。しかし、イランは制裁発動後も中国に原油を輸出し続けている。

イラン核合意は3.67%以上のウラン濃縮を禁止している。しかし、イランは濃縮度を60%以上に引き上げ、高濃縮ウランの生産を加速させている。

<ウラン(U-235)の濃縮度>
・0.7%:標準
・2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
・3.67%以下:イラン核合意の規定値
・20%以上:高濃縮ウラン
・90%以上:核兵器用

核合意の参加国であるイラン、ロシア、中国、イギリス、フランス、ドイツの交渉担当者は、6年前の署名式典会場であるウィーンのパレ コーブルク ホテル レジデンツに集まり、米国のイラン特使ロバート・マレー氏率いる米代表団は別のホテルから間接交渉に臨んだ。

イランの代表団は今週、米国にイランの外国資産100億ドル(約1.1兆円)の凍結を解除するよう要求した。しかし、ジョー・バイデン大統領は以前、イランが核開発を停止すると約束すれば、制裁の解除に向けた「交渉」を再開すると述べており、両国の考えには今も大きな隔たりがあるものと見られる。

EUのモラ外交官は記者団に、「イランと米国は核合意の約束を完全に遵守する必要がある」と述べた。核合意は核開発の制限と引き換えにイランに経済的なインセンティブを約束しているため、米国は制裁を解除する必要がある。

一方、UAE(アラブ首長国連邦)を訪問中のエマニュエル・マクロン仏大統領は3日、交渉が成立する可能性は低いと示唆したが、「来週以降も交渉は続くと信じている」と述べた。「世界は核合意だけでなく、湾岸諸国の問題に関する話し合いの重要性を理解しています」

英仏独は核合意がイランの核開発問題と中東の緊張を緩和する最善の道と信じているが、UAEを含む湾岸諸国とイスラエルは核合意に強く反対している。

イランの核開発を監視している国際原子力機関(IAEA)は1日、核合意に基づき停止していたフォードの地下核施設が再稼働したと明らかにした。イランは中部のナタンツ核施設で60%超の濃縮ウランを生産している。

イランはフォードの核施設を非軍事用に設計されたものと報告しているが、米国と世界の主要な諜報機関は、そこで核兵器開発プログラムが進んでいたと主張している。

IAEAの査察官は現在、施設へのアクセスを制限されている。

2021年4月7日/イラン中部ナタンツ核施設の衛星写真(AP通信/Planet Labs Inc.)
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