◎イラン核合意の再開に向けたウィーン交渉は難航している。
1月20日、米国のアントニー・ブリンケン国務長官はウィーンで行われているイラン核合意の再開に向けた交渉は「決定的な瞬間を迎えている」と述べ、今後数週間で合意に達しない場合、米国とその同盟国は戦術を変更する可能性があると警告した。
ブリンケン国務長官はベルリンで開催された外相協議後の記者会見で、「イランが合意に従わない期間が長くなるほど、より多くの核兵器を製造できるようになる」と述べ、交渉は進展していると信じていると強調した。「しかし、今、私たちは必要な合意に達していません。目的地に到達できない場合、私たちは戦術を変更する必要があります...」
米国のドナルド・トランプ前大統領は2018年に合意から撤退し、イランに厳しい経済制裁を科し、外国資産を凍結したうえで、イランの原油、天然ガス、石油化学製品に対する投資を禁止した。しかし、イランは制裁発動後も中国などに原油を輸出し続けている。
イラン核合意は3.67%以上のウラン濃縮を禁止している。しかし、イランは濃縮度を60%以上に引き上げ、高濃縮ウランの生産を加速させている。
<ウラン(U-235)の濃縮度>
・0.7%:標準
・2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
・3.67%以下:イラン核合意の規定値
・20%以上:高濃縮ウラン
・90%以上:核兵器用
ジョー・バイデン大統領はイランが核合意を遵守すると保証するのであれば制裁解除に向けた交渉を開始すると述べているが、イランは先に制裁を解除するよう求めている。
ドイツのアントレーナ・ベアボック外相は、「核合意はフランス、イギリス、中国、ロシアとともに合意に達した協定であり、ドイツは米国の横に立っている」と述べた。「私たちの目的は合意を維持し、意味を持たせることです。合意に達した後もウラン濃縮を続けるようでは意味がありません...」
またベアボック外相は、EU、中国、ロシアもイランに対する圧力を維持すると強調した。
フランスのジャン=イヴ・ル・ドリアン外相も会談後に発表した声明で、進展が必要であることに同意した。「ウィーン交渉開始から2カ月が経過しました。しかし、イランの核開発は急速に進む一方、交渉のペースは悲惨なほど遅く、耐え難いレベルに達しています」
一方、イランのエブラヒーム・ライシ大統領は19日、モスクワでウラジーミル・プーチン大統領と会談し、経済面などで連携を強化する考えを示した。
米ロ関係はウクライナ危機の影響で冷え切っており、イランはロシアに歩み寄ることで米国に譲歩を迫ろうとしている可能性がある。