◎イランは厳格なイスラム法を採用しており、女性にスカーフの着用を強制している。
国営イラン通信(IRNA)は16日、首都テヘランで22歳の女性が警察に拘束された後死亡した事件について、ライシ(Ebrahim Raisi)大統領が当局に調査を命じたと報じた。
IRNAによると、ライシ氏は内相に事件を速やかに調査するよう命じたという。
ソーシャルメディアで拡散した動画には、アミニ(Mahsa Amini)さんという女性がいわゆる「道徳警察(モラルポリス)」に拘束・殴打されるところが映っていた。
アミニさんはヒジャブを着用しなかったとして、13日に逮捕された。
イランは厳格なイスラム法を採用しており、女性にスカーフの着用を強制している。
警察によると、アミニさんは逮捕後、心臓発作を起こし病院に搬送され、その後死亡したという。
一部の地元メディアはアミニさんの叔父の話を引用し、「アミニさんは健康体で既往歴もなかった」と報じている。
警察は15日の声明で、「対応に当たった警察官はアミニさんに触れることなく同行を求め、逮捕した」と主張した。また警察はアミニさんのように見える女性が警察署で取り調べを受けているように見えるぼやけた映像も公開した。
しかし、SNSで拡散した動画はアミニさんが捕まれ、引っ張りまわされ、車内で殴られているところを捉えていた。
IRNAによると、主任検察官はテヘラン警察の法医学チームにこの事件を医学的側面から調査するよう命じたという。
道徳警察は近年、若い女性の扱いをめぐって批判されている。
最高指導者のハメネイ(Ali Khamenei)師はイスラム法で定められた服装を守らない女性に比較的穏やかな態度を示してきた。
しかし、強硬派は女性が髪を見せることは「道徳の崩壊」につながると主張し、厳しい罰やムチ打ちを要求している。司法当局は近年、ヒジャブを着用しない女性の情報を提供するよう国民に求めている。
政府は2017年、抗議デモの最中に数十人がヒジャブを脱ぎ捨てた事件を受け、取り締まりを強化した。
アミニさんの事件は著名人、スポーツ選手、その他の公人から非難を浴びた。
改革派のハタミ(Mohammad Khatami)元大統領は事件を「大災害」と呼び、別の元議員はハメネイ氏に事件の詳細を説明するよう要求した。
あるSNSユーザーは、「高官の子供は海外に逃げ、貧しい国に取り残された市民が死んでいく」と投稿した。
女性ツイッターユーザーは、「道徳警察が嫌い」と投稿している。「彼らの行いこそ道徳違反です!」
米国のマリー(Robert Malley)イラン特使はツイッターに、「警察は責任を取らなければならない」と投稿した。