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イラン最高指導者、トランプ大統領の交渉提案を拒否

今年6月に勃発したイランとイスラエルの「12日間戦争」は、両国間の緊張を一気に高め、米国との関係にも深刻な影響を及ぼした。
2025年10月20日/イラン、首都テヘラン、演説する最高指導者のハメネイ師(ロイター通信)

イランの最高指導者ハメネイ(Ali Khamenei)師は20日、トランプ(Donald Trump)米大統領による交渉再開の提案を拒否し、「イランの核能力を破壊した」というトランプ氏の主張を否定した。

今年6月に勃発したイランとイスラエルの「12日間戦争」は、両国間の緊張を一気に高め、米国との関係にも深刻な影響を及ぼした。

イスラエルの先制攻撃に対し、イランは大規模な報復を行い、双方で数百人の死傷者が出た。米国はイスラエルを支持し、イランの核施設を空爆した。

国営イラン通信(IRNA)によると、ハメネイ師は首都テヘランの演説で、「トランプ大統領は自分を交渉の達人と言うが、交渉に強制が伴い、その結果が予め決められているならば、それは交渉ではなく、押し付けといじめである」と述べたという。

トランプ氏は先週、イスラエル議会で演説した際、「イランとの和平合意に向けた交渉を始めることができたら素晴らしい」と述べていた。

ハメネイ師は「米国の大統領は誇らしげに、我々はイランの核を爆撃し破壊したと吹聴している。結構だ、夢を見続けろ!」と付け加えた。

またハメネイ師は「イランが核施設を持つかどうかはイランが決めることだ」と強調した。

イランはナタンツ、フォルドゥ、イスファハンの核施設が米軍の攻撃を受けたことを確認したが、被害は限定的と主張している。

米国防総省は「ミッドナイトハンマー(真夜中の鉄槌)」と名付けたイランの3つの核施設(ナタンツ、フォルドゥ、イスファハン)への攻撃作戦について、7機のステルス戦略爆撃機B2を投入し、地中貫通型爆弾(バンカーバスター)GBU57をあわせて14発使用したと説明している。

イランのアラグチ(Abbas Araghchi)外相は18日、国連事務総長宛の書簡を公開。2015年に合意したJCPOA(包括的共同作業計画、イラン核合意)の終了を中国、ロシアと連名で発表した。

イラン政府は5月31日に国際原子力機関(IAEA)がイランを非難する報告書を公表し、核不拡散義務に違反していると宣言した結果、イスラエルが空爆に踏み切ったと非難してきた。

またイランはIAEAの監督下にある非核保有国のイランが核保有国の米国とイスラエルの攻撃を受けたこと、そして、核不拡散条約(NPT)に加盟せず、核兵器を保有するイスラエルが核施設を攻撃したことを国際法違反と糾弾してきた。

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