◎イラクのクルド人自治区にはイランのクルド人諸派が運営する基地などがある。
イラン外務省は14日、首都テヘランの駐イラク大使を召喚し、イラク国内にテロ活動を行う組織が存在し続けていることに強く抗議した。
国営イラン通信(IRNA)によると、外務省は13日に大使を召還し、イラク政府が分離主義組織の指導者を公式行事に招いたことなどを非難したという。
同省は組織名を明らかにいないが、イラン北西部クルディスタン州に拠点を置き、イランからの分離独立と政府転覆を目指している「イラン・クルド民主党」などのクルド人武装勢力を指しているものとみられる。
IRNAによると、外務省はこれらの組織がイラク国内に存在することについて、両国が先月バグダッドで署名した安全保障協定に反すると伝達したようだ。
イラクのクルド人自治区にはイランのクルド人諸派が運営する基地などがある。イラン政府はこれらの組織が宿敵イスラエルや欧米諸国と連携してイラン国家の転覆を企てていると主張している。
イランでは昨年、クルド人女性がヒジャブ(イスラム教のスカーフ)を正しく着用していないという理由で警察に暴行を受け死亡する事件が発生し、クルド人組織に注目が集まった。
イラン政府は当時、クルド人組織が隣国イラクのクルド人地域を通じて武器を密輸し、テロを企てていると繰り返し非難していた。
イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)はその後、数週間にわたってイラクのクルド人自治区を空爆。イラク政府はテロ組織の取り締まりを怠っていると非難した。
昨年10月に発足したスダニ政権はイランとの交渉を開始し、先月、安全保障協定を結んだ。
クルド人組織の問題は4月下旬にイラクのラシード(Abdul Latif Rashid)大統領がテヘランを公式訪問し、最高指導者ハメネイ(Ali Khamenei)師らと会談した際にも議論された。
ハメネイ師はその際、イラク政府に対し、安全保障協定を完全に履行する必要があると述べていた。