IAEA事務局長がイランと協議へ、核施設への立ち入りは未定

イラン政府は5月31日にIAEAがイランを非難する報告書を公表し、核不拡散義務に違反していると宣言した結果、イスラエルが空爆に踏み切ったと非難してきた。
国際原子力機関(IAEA)のエンブレム(ロイター通信)

国際原子力機関(IAEA)の幹部が11日にイランを訪問し協議を行う予定だ。イランのアラグチ(Abbas Araghchi)外相が10日、明らかにした。

それによると、IAEAのグロッシ(Rafael Mariano Grossi)事務局長らは原子力庁の幹部らと協議を行う予定だが、核施設への訪問は予定されていないという。

アラグチ氏はテレグラムへの投稿で、「IAEAとの交渉は明日行われ、協力の枠組みが決定される」と書いた。

またアラグチ氏は「グロッシ事務局長は明日テヘランを訪れる予定だが、枠組みが決定されるまで、核施設を訪問する計画はない」と述べた。

イラン政府は先月、IAEAとの協力を停止した。

イランの核施設は12日間にわたるイスラエルとの戦争で大きな被害を受けたとされる。

IAEAはイランの核開発計画、核兵器製造能力を破壊することを目的とした6月のイスラエルと米国の空爆の後、査察を再開しなければならないと主張してきた。

イランは核兵器の開発を否定。平和的なものであると主張している。

イランは5月時点で60%の濃縮ウランを408.6キログラム保有。IAEAによると、これは核弾頭9発分に相当する。

<ウラン(U-235)の濃縮度>
▽0.7%:標準
▽2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
▽3.67%以下:イラン核合意の規定値
▽20%以上:高濃縮ウラン
▽90%以上:核兵器用

イラン政府は5月31日にIAEAがイランを非難する報告書を公表し、核不拡散義務に違反していると宣言した結果、イスラエルが空爆に踏み切ったと非難してきた。

またイランはIAEAの監督下にある非核保有国のイランが核保有国の米国とイスラエルの攻撃を受けたこと、そして、核不拡散条約(NPT)に加盟せず、核兵器を保有するイスラエルが核施設を攻撃したことを国際法違反と糾弾している。

NPTで核保有を認められた5カ国(米露中英仏)以外に核兵器を保有する国のひとつがイスラエルであり、IAEAを含む国際社会はそれを黙認してきた。

イスラエルは現在、核弾頭を約90発を保有していると推定されるが、その保有を認めたことは一度もない。

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