イランが米空軍基地にミサイル発射、トランプ氏は和平呼びかけ

ハメネイ師は23日、ミサイル攻撃後に声明を出し、「私たちは誰の侵略にも屈しない…これがイラン国民の論理である」と強調した。
2025年6月23日/カタール、ドーハの幹線道路(ロイター通信)

イランが23日、カタール・ドーハ近郊の米空軍基地に対してミサイル攻撃を行った。

米当局によると、負傷者は確認されていないという。

イランはドーハの南西に位置するアルウデイド米空軍基地を標的にしたとみられる。

ABCニュースは米国防総省当局者の話しとして、「イランがアルウデイド空軍基地に向けて短距離および中距離弾道ミサイルを発射したことを確認した」と伝えている。

トランプ(Donald Trump)大統領はこの攻撃を「弱い対応」とする一方、イラン側が事前にミサイル攻撃を行うと通知していたと明らかにした。

カタール当局は軍の防空部隊がミサイルを迎撃し、人的・物的被害は出なかったと報告している。

米軍は22日、「ミッドナイトハンマー(真夜中の鉄槌)」と名付けた攻撃作戦を決行。イランの3つの核施設(ナタンツ、フォルドゥ、イスファハン)に対し、7機のステルス戦略爆撃機B2などを投入し、地中貫通型爆弾(バンカーバスター)GBU57をあわせて14発使用したと明らかにした。

イランはナタンツ、フォルドゥ、イスファハンの核施設が攻撃を受けたことを確認したが、被害は限定的と主張している。

イランの最高指導者ハメネイ(Ali Khamenei)師は報復を宣言。アルウデイド空軍基地に向けてミサイル計14発を発射した。

ハメネイ師は23日、ミサイル攻撃後に声明を出し、「私たちは誰の侵略にも屈しない...これがイラン国民の論理である」と強調した。

イランは攻撃の数時間前に2つの外交チャネルを通じて米側にミサイルを発射する旨を伝えていた。トランプ氏はこれを前向きな兆候と捉えた。

トランプ氏はトゥルース・ソーシャルへの投稿で、「イランが早期に通知してくれたことに感謝したい。そのおかげで人命が失われず、誰も負傷しないことを可能にした」と書いた。

またトランプ氏は「イランは平和の道に進むことができる。そして私はイスラエルにも同じことをするよう熱心に奨励する」とした。

さらに、「イランは空軍基地に14発のミサイルを発射した」と述べ、「それは非常に弱い反応であり、我々は通知に基づき、それに効果的に対応した」とした。

カタール、バーレーン、クウェートはこのミサイル攻撃を受け、空域を閉鎖した。

国際原子力機関(IAEA)によると、ナタンツ、フォルドゥ、イスファハンに対する米軍の攻撃後、3施設外で放射線レベルの上昇は報告されていない。

イラン側は6月13日にイスラエルが攻撃を開始して以来、400人以上が死亡、少なくとも3056人が負傷したと報告。イスラエル側では少なくとも24人が死亡している。

イランは5月時点で60%の濃縮ウランを408.6キログラム保有。IAEAによると、これは核弾頭9発分に相当する。

<ウラン(U-235)の濃縮度>
▽0.7%:標準
▽2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
▽3.67%以下:イラン核合意の規定値
▽20%以上:高濃縮ウラン
▽90%以上:核兵器用

SHARE:
この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします