イランと欧州諸国の代表団がジュネーブで会談、核制裁迫る中
E3は欧米側が求める核査察と外交交渉の再開にイランが応じない場合、制裁を再開する可能性があると警告している。
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イランと欧州主要3カ国(英仏独、E3)の高官が26日、ジュネーブで会談した。
イランのアラグチ(Abbas Araghchi)外相とE3の外相は先週末、核問題に関する協議を来週再開することで合意していた。
E3は欧米側が求める核査察と外交交渉の再開にイランが応じない場合、制裁を再開する可能性があると警告している。
またE3はイランと主要国間の核合意がほぼ機能不全に陥った現状を踏まえ、イラン側が要求に応じない場合、10月までに国連安全保障理事会で制裁の「即時発動」を促すとしている。
イランの外務次官は会談後、X(旧ツイッター)に声明を投稿。「テヘランは外交と相互に有益な解決策へのコミットメントを維持している」と書いた。
また外務次官は「E3と国連安保理が正しい選択をし、外交に必要な時間を与えると確信している」と述べた。
ロイター通信は関係者の話しとして、「公式声明を出す予定はない」と伝えている。
現地メディアによると、2015年のイラン核合意の調整役を務めたEUの代表団も協議に参加したという。
イラン政府は先月、国際原子力機関(IAEA)との協力を停止した。
イランの核施設は12日間にわたるイスラエルとの戦争で大きな被害を受けたとされる。
IAEAはイランの核開発計画、核兵器製造能力を破壊することを目的とした6月のイスラエルと米国の空爆の後、査察を再開しなければならないと主張してきた。
イランは核兵器の開発を否定。平和的なものであると主張している。
IAEAのグロッシ(Rafael Mariano Grossi)事務局長は核施設の査察を許可するよう求めてきた。
一方、トランプ米政権とイスラエル政府はイランが核開発につながる可能性のあるウラン濃縮を再開した場合、再びイランを攻撃すると警告している。
イランは5月時点で60%の濃縮ウランを408.6キログラム保有。IAEAによると、これは核弾頭9発分に相当する。
<ウラン(U-235)の濃縮度>
▽0.7%:標準
▽2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
▽3.67%以下:イラン核合意の規定値
▽20%以上:高濃縮ウラン
▽90%以上:核兵器用
イラン政府は5月31日にIAEAがイランを非難する報告書を公表し、核不拡散義務に違反していると宣言した結果、イスラエルが空爆に踏み切ったと非難してきた。
またイランはIAEAの監督下にある非核保有国のイランが核保有国の米国とイスラエルの攻撃を受けたこと、そして、核不拡散条約(NPT)に加盟せず、核兵器を保有するイスラエルが核施設を攻撃したことを国際法違反と糾弾している。
NPTで核保有を認められた5カ国(米露中英仏)以外に核兵器を保有する国のひとつがイスラエルであり、IAEAを含む国際社会はそれを黙認してきた。
イスラエルは現在、核弾頭を約90発を保有していると推定されるが、その保有を認めたことは一度もない。