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イランと欧州諸国、核合意に関する協議再開へ

イラン政府は先月、国際原子力機関(IAEA)との協力を停止した。
イランとEUの代表団(Getty Images)

イランのアラグチ(Abbas Araghchi)外相と英仏独の外相が核問題に関する協議を来週再開することで合意した。国営イラン通信(IRNA)が22日に報じた。

3カ国はイランが争点となっているウラン濃縮プログラムを制限する合意に向けた交渉に戻らない場合、制裁を再発動する可能性があると警告していた。

ドイツ外務省は23日、来週イラン核合意の再開に向けた協議を行うことを確認。「イランが核に関する懸念を解消する検証可能で持続可能な合意に達しない限り、制裁が再発動される」と改めて警告した。

フランス政府もコメントを出し、「イランは実質的な協議に臨む必要がある」と強調した。

IRNAはアラグチ氏が英仏独の外相とのオンライン会議で次官級の協議を8月26日に行い、それ以降も継続することで合意したと報じた。

IRNAによると、アラグチ氏は3カ国が制裁を再発動する法的・道義的な資格がないことを強調。「そのような措置を講じても問題は解決しない」と警告したという。

イラン政府は先月、国際原子力機関(IAEA)との協力を停止した。

イランの核施設は12日間にわたるイスラエルとの戦争で大きな被害を受けたとされる。

IAEAはイランの核開発計画、核兵器製造能力を破壊することを目的とした6月のイスラエルと米国の空爆の後、査察を再開しなければならないと主張してきた。

イランは核兵器の開発を否定。平和的なものであると主張している。

IAEAのグロッシ(Rafael Mariano Grossi)事務局長は核施設の査察を許可するよう求めてきた。

一方、トランプ米政権とイスラエル政府はイランが核開発につながる可能性のあるウラン濃縮を再開した場合、再びイランを攻撃すると警告している。

イランは5月時点で60%の濃縮ウランを408.6キログラム保有。IAEAによると、これは核弾頭9発分に相当する。

<ウラン(U-235)の濃縮度>
▽0.7%:標準
▽2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
▽3.67%以下:イラン核合意の規定値
▽20%以上:高濃縮ウラン
▽90%以上:核兵器用

イラン政府は5月31日にIAEAがイランを非難する報告書を公表し、核不拡散義務に違反していると宣言した結果、イスラエルが空爆に踏み切ったと非難してきた。

またイランはIAEAの監督下にある非核保有国のイランが核保有国の米国とイスラエルの攻撃を受けたこと、そして、核不拡散条約(NPT)に加盟せず、核兵器を保有するイスラエルが核施設を攻撃したことを国際法違反と糾弾している。

NPTで核保有を認められた5カ国(米露中英仏)以外に核兵器を保有する国のひとつがイスラエルであり、IAEAを含む国際社会はそれを黙認してきた。

イスラエルは現在、核弾頭を約90発を保有していると推定されるが、その保有を認めたことは一度もない。

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